今年1月、日米貿易協定が発効し、38.5%の米国産牛肉の関税率は26.6%に下がりました。2033年度には9%になります。国内の畜産農家保護のため、セーフガードがあり、米国産牛肉が急増することはありませんが、安い輸入牛肉が出回ることは確実です。
一方で、食の安全という面で、私たちが知らなければいけないことがあります。
米国や豪州では、成長ホルモンや成長促進剤の使用が認められています。ホルモン剤は発がん性の疑いがもたれており、EUでは1988年から国内での使用が禁止され、89年からは米国産牛肉の輸入が原則禁止です。貿易紛争になり、2009年に成長ホルモンを使っていない牛肉の無関税枠年間4万5千トン分の段階的増加で決着。
成長促進剤のラクトパミンは中国や台湾で中毒事件が起きており、多くの国で国内使用も輸入も禁止です。
日本だけは、成長ホルモンと促進剤の使用を国内で禁止しながら、それらを使用した肉類の輸入が認められています。このようなダブルスタンダードはおかしいと思います。
政府の言い分は、輸入の際にホルモンや促進剤の残留基準を検査して、国際基準をクリアしているというものです。そもそも国際基準を決めるコーデックス委員会は多数決で決まりますので、100%科学的というわけでもありません。
2017年まで、酢酸メレンゲステロールというホルモン剤の基準(筋肉)は国際基準の30倍も甘く設定されていました。また、平均8%程度のモニタリング検査ですし、今後「48時間検疫ルール」になるとサンプル数が減る可能性もあります。
米国でも、値段は高くなりますが、ホルモン剤を使わない肉類の消費が増えています。スーパーでは「ホルモンフリー」と表示しています。日本に進出している人気ハンバーガー・チェーンの「シェイクシャック」などは「成長剤やホルモン剤、抗生物質を一切使わない牛肉」を使っていることをHPで宣言しています。
日本の消費者にも選択肢を与えるために、せめて成長ホルモンや促進剤を使っているのかどうか表示させるべきではないでしょうか。
編集部より:このブログは衆議院議員、岸本周平氏の公式ブログ、2020年2月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は、岸本氏のブログをご覧ください。