MMT信者の皆さんの「貨幣」に関する誤解

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MMTを信じる人たちが、私に貨幣についていろいろな説明をしてきますが、誤解があるようなので、説明をします。

中央銀行が発行するのが中央銀行通貨(発行銀行券+日銀当座預金)です。これにコインをたしたものをマネタリーベースと言います。ベースというくらいで、これがいわゆるタネ銭です。このマネタリーベースを基に信用創造で預金通貨が供給されます。マネタリーベースを増やすと、銀行間市場から資金が染みだして市中に流れ出るだろうという前提で異次元緩和がスタートしました。

結局、信用乗数が低く、想定通りに事が運ばず、今のところインフレは起きていません。しかし現在、マネタリーベースが異常なほどに大きいので、何かの理由で(例えば、円安進行で景気が良くなるなどで)資金需要が大きくなり、信用創造が起きれば、ハイパーインフレ一直線です。そのマネタリーベース拡大策が日銀の長期国債の爆買いなのです。

要は、べ―スマネーを銀行間市場に供給されれば、市中に回る貨幣も増え、逆にベースマネーを絞れば、市中に回る貨幣も減るという発想で、金融政策は行われています。スタートはマネタリーベースであり、最初に預金通貨(信用創造)ありき、ではありません。

どなたが吹聴しているのか知りませんが、MMT賛成の方の私への反論twitterにしばしば「銀行は、日銀当座預金で国債を買う」とか「国債は日銀当座預金でしか買えない、そんなこと知らないのか?」という記述が出てきます。

たしかに銀行が入札で国債を買うと「日銀にある日銀当座預金残高(日銀の負債)」が減り、日銀に置いてある政府預金残高が増えます。しかし、だからと言って「だから国債がなくなるとお金が無くなる」とか「当座預金が大きくないと国債が買えない」とかいう話では全くありません。単なる「決済の仕組みの説明」にすぎないのです。

1990年代、私が金融マンの頃、日銀当座預金は、ほぼ4兆円にすぎませんでした、一方、国債発行額は数百兆円でした。日銀当座預金で銀行が国債を買っていたのでも、国債を基に通貨が発行されているわけでもないことは、この数字からも、お分かりになるかと思います。

日銀は、主として企業の振り出す約束手形で中央銀行通貨を発行していました。国債保有で発行していたわけでもありません。