スーパーチューズデー後も混戦続けば、ブローカー・コンベンションに直面?

天下分け目の戦い、スーパーチューズデーが迫っています。

(カバー写真:Lorie Shaull/Flickr)

スーパーチューズデーで優勢となれば、以降の選挙戦で勢いに乗れる可能性あり。ブルームバーグ候補はここに注目、アイオワ州を始め2月に党員集会・予備選を予定した4州を切り捨て、代議員数34%を誇るスーパーチューズデーに狙いをつけた戦略を展開してきました。SNSでブルームバーグ氏の選挙公約などにポジティブなコメントを投稿するだけで月2,500ドルなら、働き手に困らなかったのではないでしょうか。

一方で、サンダース候補がスーパーチューズデーでリードできれば過半数の1,991人が視野に。逆に、ブティジェッジ候補やバイデン候補などは巻き返せなければ、ここで撤退が濃厚ですから、天下分け目の戦いとなるわけです。

スーパーチューズデーまでで、代議員数1,458人の動向が判明。

(作成:My Big Apple NY)

とはいえ、スーパーチューズデー後に過半数を獲得できる候補の目途が立たなければ、“ブローカー・コンベンション”という民主党にとって悪夢のシナリオが視野に入ってきます。

“ブローカー・コンベンション”とは、予備選後に全代議員の過半数を獲得した候補者がいない場合に行われ、いずれかの候補者が過半数に到達するまで代議員が投票を行う仕組みです。党員集会・予備選の結果に束縛されず自分の意思で投票できるため、候補者とそれぞれの支持者は代議員獲得を目指して口説いてまわるのですよ。その様子は、さながら日本人にお馴染みの“花いちもんめ”のごとく。ただし、ブローカー・コンベンションは1952年以降、民主党・共和党ともに実施されていません。

2008年のオバマVSクリントンでは、予備選を残すところ自治領プエルトリコ、モンタナ州、サウスダコタ州というギリギリの段階で5月21日、辛くもオバマ氏が勝利宣言したものです。なお、ブローカー・コンベンションの最長記録は1924年の民主党大会で、16日にわたり103回の投票を余儀なくされました。

ブルームバーグ候補は、まさにブローカー・コンベンションをにらみ、既に代議員獲得に向け水面下で奔走中なのだとか。同候補がいずれも過半数を獲得できないと読んだ理由は、民主党規則の変更にあります。

実は2020年の党員集会・予備選から、有権者の意思を反映し振り分けられる普通の代議員しか投票できません。これは、2016年に自由意志で投票できるスーパーデリゲートが相次いでクリントン候補に支持を表明し予備選の戦況を作り、サンダース候補にとって不利な結果に終わったと判断されたためです。

スーパーデリゲートは正副大統領、上下院議員、知事、あるいはいずれの経験者などを党内の重鎮を指し、影響力は絶大ですからね。前述2008年のオバマ候補勝利の立役者も、スーパーデリゲートでした。

仮に今年、ブローカー・コンベンションが行われるなら、ざっくり以下のような段取りとなる見通しです。

(作成:My Big Apple NY)

半世紀ぶりのブローカー・コンベンションを回避できるか否か、スーパーチューズデーの結果が運命の分かれ道となることは間違いありません。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年2月26日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。