“うまい棒”まで経費に…防衛記者会(記者クラブ)が財政破綻?

清谷 信一

防衛記者会(記者クラブ)が2018年に出した内部資料によると、防衛記者会は数年中に財政破綻があり得るとしています。もう2020年ですが大丈夫でしょうか。

Wikipedia:編集部

防衛記者会の支出で気になるがいくつかあります。

まず大臣外遊に際しての記者の旅費を内局の報道室のスタッフに個人的に肩代わりしてもらっていることです。業務として報道室が立て替えるならわかりますが、個人的に建て替えてもらうのは不透明な馴れ合いにつながらないでしょうか。これは先日の大臣会見で河野大臣も問題だという認識でした。

それか各幕僚監部との記者懇談会用としてビール券34万円ほども計上されています。これは各幕僚監部に渡しているのでしょうか?だとしたら問題です。

更に記者会の予算でお酒含めて結構飲み食いしています。酒代で約6万円の支出がありますが仕事中に役所内で飲んでいるんでしょうか。うまい棒まで経費みたいです。まるでガリガリ君を政策費で落とすどこかの国の総理大臣みたいです。

更に購読雑誌では漫画雑誌の、モーニング、Dancyu、おとなの週末、散歩の達人などが入っておりますが、防衛記者クラブで必要な雑誌でしょうかね?そのくせミリターバランスや、ジェーンズの年鑑なんぞは購入していないようです。

更に大きな問題は、支出に防衛省の部屋の使用代が入っていないことです。記者クラブはA棟10階内に記者室、会見室、会見控室、連絡員室を借りており、更にD棟にも部屋を借りています。これらの賃貸料、管理費、光熱費はなどは資料を読む限り払われておりません。

また防衛省は連絡員2名を貼り付けていますが、この人件費も防衛省持ちです。連絡員はコーヒーメーカーでコーヒーをいれる「お茶くみ業務」までしています。

これらの経費を含めれば、恐らく月に100万円以上の経費がかかるでしょう。そのようり便宜供与が、記者会という町内会と同じような一民間任意団体に使われています。当然ながら原資は我々の税金です。

その記者会は他の媒体やフリーランスを排除しております。一応防衛記者会はフリーランスの会見参加を認めましたが、セキュリティーが厳しいA棟への入館の問題で広報課がペンデングにしています。ですが記者会は広報課に何らの働きかけもしていないようです。

更に申せば会見だけではなく、多くの取材機会から記者クラブ以外の媒体やフリーランスが排除されていますが、これは当局と記者クラブの合作です。

これが果たして民主国家の報道の体制といえるでしょうか。

本来報道は権力の監視が使命でもあるはずのですが、記者クラブは当局と癒着しており、むしろ国民の知る権利から当局を守る防波堤の役目を果たしております。そのような組織を税金を使って維持するべきではないでしょう。

連絡員の経費に関しては広報課長に直接書面を渡して尋ねておりますが、未だに回答はありません。

恣意的に同業者を排除して取材機会を囲い込む記者クラブに公金を支出することが、果たして正当化されるのでしょうか。

フリーランスのA棟への入館だけが問題ならば、会見室とD棟の記者クラブの部屋にテレビ会議の施設を導入して、記者クラブ以外の人間をそこに入れて会見に参加させればいいでしょう。大した費用かかりません。最近流行りのテレワークです。

不思議なことに会見室にはテレビ局のクルーは入っています。彼らはテレビ局の社員ではなく、下請けの外注先の人間です。セキュリティ上の問題はないのでしょうか?

大臣の会見は防衛省のウエブサイトでログが公開されていますが、事務次官、報道官、各幕僚長らの会見の内容は、公開されていません。これも防衛省は公開すべきです。

記者クラブの乱脈は幹事会社が月変わりという無責任体質によるのではないでしょうか。毎月幹事が変わるわけですから、まともに計画も立てられないでしょう。会社で課長や係長、あるいはマンションの管理組や町内会だって毎月トップが変わるならば機能はしないでしょう。

記者クラブという制度はすでに寿命が尽きているのではないでしょうか。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2020年2月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。