読書をするとき、ただ漫然と読みはじめている人はいませんか。もちろん、楽しむときの読書はそれでもいいのですが、限られた時間で本を読まなくてはいけないとき、いくつかの方法を加味することで読書のスピードや吸収力が一気に加速します。
今回は新著『頭がいい人の読書術』(すばる舎)から、読書テクニックをお教えします。
有名作家が「旅館に缶詰になって小説を書き上げる」などという話を聞いたことはありませんか。彼らはなぜ旅館にこもるのでしょうか。「自分のオフィスで書いたほうが効率的だ」と考える人もいると思います。
しかし、旅館なら、他からの干渉をすべてシャットアウトできるメリットがあります。雑念を排除し、集中力を高めて、一気に執筆を仕上げることができます。作家の村上春樹さんは、著書のなかで海外のカフェで書くことが多いことを明かしています。街の風景にとけこみながら、集中して小説を書くのです。
私の場合は、新宿のビジネスホテルを利用します。高層階から見える風景は気分を落ち着かせてくれます。非日常の空間にいながら優雅に執筆ができて、気分転換の娯楽(ルームシアター)が常備され、集中力も高まる場所です。
ほかには、ホテルのラウンジをよく利用します。私の場合、コンサルティング会社に勤務していましたが、その仕事は超多忙でした。つねに監視されているような状況で、いつもストレスフルの状態。数時間、誰とも会わない、電話に出なくてもいい時間が必要でした。
当時は、銀座・伊東屋の横にあるルノアールを利用しました。座席数が多いので座れないことがありません。さらに、地下にあるので当時は電波が届きません。都合がよい場所でした。ほかにも、体調が芳しくないときには仮眠室を利用しました。
どうしても集中したいときや、ストレスフルな状況のときには、集中できる環境に身を置くか、いったんリセットする場所に身を置かなくてはいけません。
ホテルのラウンジやカフェは、ゆったりとした気分で誰にも気兼ねすることなくお店にいることができます。隣の席との適度な距離感がわずらわしさを感じさせません。コーヒー1杯であろうと邪険な扱いをされることもありません。
ホテルのカフェはそもそも待ち合わせや商談を目的として、宿泊客はもちろん、宿泊客以外の方でも自由に利用できることを目的としています。従業員やスタッフが一定の距離感を保ってくれるため、干渉されることはありません。
さらに、ホテルであれば急な手配や頼みごとがあっても細かなところまで行き届いたサービスを提供してくれます。いずれにしてもホテルは使い勝手のよい空間なのです。
あなたが、心を豊かにする1冊に出会えることをお祈りしています。
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尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
16作品目となる『頭がいい人の読書術』(すばる舎)を出版しました。出版後すぐに重版。amazon・読書術、図書館情報学2部門ベストセラー1位(2/14現在)。