前回の記事で、政府各省庁がコロナウィルス対策に当事者意識を持つべきだ、ということを書いた。外交方面から言うと、いよいよ佳境に入ってきた、と感じる。
アジア各国では日本人の入国制限措置が広がっている。アメリカが近く新たな入国制限措置をとると言われている。そこに日本が入るのかどうか、あるいは日本全国が入るのかどうか、トランプ大統領の判断は、日本外交にとって大きなインパクトを持ってくるだろう。
アジアをこえた広がりを持ち、アメリカでも死者が出始めている現状で、各国が厳しい措置を取り始めてくること自体は、必至だ。そこで日本がどう扱われるか、は、オリンピックのみならず、日本経済全体に対して、深刻な意味を持ってくる。
現在の日本での感染者数・死者数の広がりは、世界的な水準から見て、微妙だ。ダイヤモンド・プリンセス号での感染者数をカウントするかどうかについて、麻生大臣の愚痴が報道されているが(参照:夕刊フジ)、そんなことをしている暇があったら、正規ルートでの情報発信にもっと力を入れるべきだ。
WHOテドロス事務局長の発言をめぐる一連の事態は、現実分析と評価が難しい中で国際政治がうごめいていることを示している(参照:読売新聞「日本は『感染の危険が高い印象、世界で拡大』…入国後に隔離・自宅待機させる国も」)。
日本が不当な情報操作をしているという印象を与えることは、避けなければならない。かえって悪影響が出る。しかし、印象論だけで、過度に日本人に対する制限が世界に広がる傾向があるとしたら、それに対しては手を打たなければならない。
もちろん、実際に、日本政府は次々と先手先手の政策的措置をとっている、民間でも対応措置が活発だ、という姿勢を示すのは、実は長期的な経済活動の安定を図るためには、重要であった。今でもまだ重要だ。新たな立法措置は、とにかく早く行うべきだ。超党派で立法できれば、素晴らしい。
学校休校措置は、イタリア政府が追随した。どうせやるなら先にやった政府のほうが賢かった、と世界の人々は自然に思う。交通機関に対する措置も、ニューヨーク市がやっていることに追随するくらいのことはできないのか。航空機乗船前にも熱を測るなどの各国との人の円滑な往来を確保するための措置はありえないのか。
絶対に見たくないのは、閣僚やオリンピック委員会など影響力のある層の人々の失言だ。何があっても、自国民を守るための措置をとっている各国政府の誠意を疑うような発言は、絶対にしないように、気を付けてほしい(参照:中央日報「韓国外交部長官の『軽い口』…相手国見下して入国制限緩和要請通じるか」)。