北区立小学校での子ども預かりの現状
東京都北区では、新型コロナウイルス対策のための北区立小学校における臨時休校対応について、学年に寄らず、本当に必要なお子さんに対する預かりをしてくれています。
学童クラブに通うお子さんに限定せず、門戸を開いたことは、本当に素晴らしいことだと思い、北区の対応には感謝しています。
現場での問題
更には一部の小学校において、
「トイレ以外は席を立ってはならない」マスク着用かつ休み時間であるにもかかわらず「私語厳禁」
といった、子ども達に対して厳しすぎる対応をしている学校があり、子どもが泣いて学校へ行くのを嫌がっている、体調を崩した、などというお声をいただくようになりました。
子どもを守りたい気持ちは同じであっても、果たしてその手法は正しいのだろうか?
私は、これらの話を聞いて、胸が張り裂けそうになりました。
早急になんとかせねばと、課長に相談し、あまりにも行き過ぎている学校については個別でお電話をしていただいた上で、本日の予算特別委員会という公式の場で改善を訴えました。
予算特別委員会の総括質問にて区に訴える
新型コロナウイルス対策のための北区立小学校における臨時休校対応について質問します。
まず、北区においては、特に小学生への対応について、学年や就労形態にかかわらず、必要なお子さんの預かりを行うということで、短時間労働の方や高学年でも留守番が難しいお子さんへの対応についてご配慮いただいたことに、心から感謝申し上げます。
このことは私自身も早い段階から切にお願いをしていた事項ではありますが、保護者の方々からも安心の声が上がっています。
さて、現在、小学校では、教室にて先生方が児童の見守りをしてくださっていますが、その対応について保護者の方々から様々な声をいただいており、中でも早急に改善をしていただきたい点を絞ってお聞きします。
この学校預かりにおいて、複数の小学校において「校庭や体育館での運動の禁止」の旨がプリント等に明記されています。
更には、一部の学校にて「休み時間に関係なくトイレ以外は席を立ってはいけない」、マスク着用かつ休み時間にも関わらず「私語厳禁」といった厳しい指導がされており、子どもが泣きながら学校に行くのを嫌がっているとのお話を始め、ご相談を多々いただいています。
ここで、まず、小学生が数週間に渡り連日、丸一日、室内でじっとして過ごすということは、現実的に難しいことです。
自宅学習されているお子さんも、お散歩や公園で体を動かすことで、気分転換することもあるでしょう。
しかし、学校にいるお子さんに対し、毎日毎日、室内限定で過ごすことなどを強制することは、それでなくとも不安な気持ちを抱えている子どもたちに、大きなストレスと負の影響を与えかねません。
私の認識の範囲ですが、学校がそのような対応を行う理由として、大きく2つあります。
ある学校では「自宅学習の代替である」という理由、また別な学校では「感染予防のため」とのことです。
一方で、柔軟な対応をされている学校もあり、学校によって、かなりの差が出ていますが、区として、学校での過ごし方における見解は示されたのでしょうか?教えてください。
校庭での運動は、室内とは異なり解放された空間であることから感染のリスクは低く、外に出ても直ちに感染の恐れはありません。教室や学童保育が認められている以上、外での活動を認めない根拠が「感染対策」とは言い難いと思います。
また、「自宅学習の代替だから、校庭や体育館では運動できない」という点ですが、本来学校は、教育的観点から、子どもたちに学びの機会をあたえ、運動によって体を鍛え、健やかな成長をサポートする役割があると思っています。
たとえ休校だとしても、区は、子どもたちの健全な発達を担保し、与えられた環境で最大限、子どもたちのための教育環境を整えてあげるべきではないでしょうか。
学校には、本当に必要なお子さんだけが集まっており、昨日の全員協議会で報告がありましたが、学童クラブに通うお子さんでも4割しか登校していないとのことです。決して大勢の児童が登校しているわけではありません。
ですので、もともと授業予定だった先生方の力をお借りしながら、時には、校庭などで体を動かし、心身の健康を保てるような配慮をお願いしたいです。
このような状況だからこそ、子どもたちが健やかに過ごせるよう、校庭等における運動の禁止、一言もお友達と口を聞いてはならないといった根拠の乏しい決まりなどを改善していただきたいです。
日々、子ども達には大きなストレスがかかっていますから、校庭での運動を可能とし、早急に、全ての区立小学校に対し、北区としての方針や具体例をお示しいただきたいと思いますが区の見解を問います。
区からの回答とまとめ
区からは、
「学校での過ごし方は区として統一した見解は示しておらず、各学校判断である。
国からの通知(下記参照)を元にしながら安全対策を講じるとともに、過度な指導を行わないよう各学校に促して行く。」
という、とても積極的な回答をいただきました。
また、WHO調査報告書によると中国で感染が確認された約5万6千人中、
「子どもの感染例は少なく、症状も比較的軽いということで、19歳未満の感染者は全体の2.4%にとどまっていて、重症化する人はごくわずか」
「子どもの感染について報告書では、多くが家庭内での濃厚接触者を調べる過程で見つかったとしたうえで、調査チームが聞き取りを行った範囲では、子どもから大人に感染したと話す人はいなかったと指摘しています。」
との結果を元に
単に国の方針に従い、感染率の低い子どもたちの環境を著しく追い込むのではなく、エビデンスに基づき、子ども達にしわ寄せがいかないような対応をお願いしました。
1日、いえ、1秒でもこうした状況から、子どもたちを解放してあげたいです。
子どもたちの環境が早急に改善されますよう注視していくとともに、引き続き、私にできることをしていきます。
【参考】
学校が参考にしている国からの通知
「新型コロナウイルス感染症防止のための小学校等の臨時休業に関連した放課後児童クラブ等の活用による子どもの居場所の確保について(依頼)」
編集部より:この記事は、東京都北区議会議員、駒崎美紀氏(無所属)のブログ 2020年3月5日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこまざき美紀オフィシャルブログをご覧ください。