読書をするとき、ただ漫然と読みはじめている人はいませんか。もちろん、楽しむときの読書はそれでもいいのですが、限られた時間で本を読まなくてはいけないとき、いくつかの方法を加味することで読書のスピードや吸収力が一気に加速します。
今回は新著『頭がいい人の読書術』(すばる舎)から、読書テクニックをお教えします。
みなさんは、パレートの法則をご存じですか?パレートの法則とは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した経済学に関する法則です。顧客全体の2割が売上の8割を構成しているという法則で、2:8(ニッパチ)の法則などともいわれています。
現在では、その活用範囲は広く、マーケティング、購買、品質管理など、あらゆる企業活動や経済活動に適用できるとされています。
この理論がブームになったとき、いろいろなケースに応用してみました。当時、ベンチャー企業の営業統括役員をしていたのですが、売上高の多い順に顧客を並べてみると、売上の大きい上位20%の顧客で全体の80%を構成していることがわかりました。
また、主力商品によって売上の80%が構成されていることもわかりました。過去の売上推移を調べると、顧客の継続率は毎年80%であること、5年後には80%の取引がなくなることがわかりました。いたるところで、パレートの法則が当てはまることがわかったのです。
重要となる20%から全体の80%が生み出されているとしたら、そこに注力するのは当然のことです。そうしないと時間を有効活用することができません。
私は講演や研修の際に、書籍の販売をすることがあります。当然、売れ行きのいい本を持参したほうが、確実に本の売れ行きはアップします。
先日開催した講演では、売れ行きの悪い本を新刊を購入してくれた人におまけとして無償でプレゼントしたところ、売上自体が20%増加したこともあります。
これは読書も同じことです。本を読むとき、全体をまんべんなく読むよりも、重要な 2 割に時間を投入するべきなのです。そうすることで、8割近くの重要なポイントを知ることができます。このようなシンプルな方法を繰り返すだけで、あなたが読むことのできる本の量は確実に増えていきます。
読書に「パレートの法則」を使う場合は、割り切りが大切です。8割を切り捨てるなんてもったいない、という人がいるでしょう。この場合、読書を楽しむために、どうしても必要であれば、もちろん切り捨てる必要はありません。時間に余裕があれば、ゆっくりじっくり好きなだけ、時間をかけて読んでもいいのです。
あなたが、心を豊かにする1冊に出会えることをお祈りしています。
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尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
16作品目となる『頭がいい人の読書術』(すばる舎)を出版しました。出版後すぐに重版。amazon・読書術、図書館情報学2部門ベストセラー1位(2/14現在)。