新型肺炎、今、必要な対策とメッセージは何か?

安倍首相が記者会見を行いました。趣旨は日本の感染者数は諸外国と比べ落ち着いてる、緊急事態宣言をする状況にはない、経済再生政策を間髪を入れず行う、五輪は予定通り開催したい、ということでした。

官邸サイトより

多分、メッセージの重みが足りないのだと思います。多くの方にとってこのメッセージの内容は想定内ではなかったでしょうか?首相がわざわざ記者会見を行うのならばインパクト性があるものを期待したのだろうと思います。もちろん、驚くべき内容があることが大事であるとは思いませんが、国民はもっと具体的で明るい未来を描けるような発表を待っていたのではないでしょうか?

実はカナダのブリティッシュコロンビア州の保健省が全ての国からの入国者につき2週間の自宅待機要請がでました。日本でも中国韓国などを対象に同様の要請を行っていますが、すべての国に拡大したのはかなりインパクトがあります。私も4月に計画していた日本出張は延期せざるを得なくなります。

しかし、アメリカやカナダがここにきて国を閉じるほどの規制を敷き始めたのは医療への基本的考え方が違うこともあると考えています。北米ではそもそも医者や薬に頼らない傾向が強いことがあげられます。よくアメリカは医療費が高いことが問題だ、と指摘しますが、カナダは真逆の一切無料。ここBC州でも最近は健康保険料まで無料になってしまっているのですが、それでも通常時に医療が崩壊しないのは医者に掛からない傾向が強いからの何物でもありません。仮に日本人のような医者好きであればそもそも今の医療制度が成立しないのであります。

この背景のもと、今回のような問題が起きると医療崩壊が起きてしまい、その場合、国を閉じるしか方法がないのであります。バンクーバー近郊のある病院でクラスターらしき感染が起きているのですが、これを受けてとにかくあらゆる関連のものがシャットオフになってしまっています。これは中国方式の「閉じる」という手法と同じなのですが、結果としてこれは効果的であり、それ以上に強いメッセージがあると考えています。

日本はもう少し国を閉じてもよいと思います。国際線の航路も成田と関空に当面は限定し、欧州からの人は入国禁止措置を取るべきかと思います。感染マップは非常にばらつきがあるのですが、正直、感染者を把握できない国や把握しても発表しない国があるとみています。ここは性善説ではなく、性悪説を取るべきでしょう。

次に経済対策ですが、目先、人が動けないなかで瞬間的な効果がある対策を出してもインパクトはありません。個人的には向こう1-2年間、消費税を5%にする対策を取ることができれば効果的になるとみています。また、企業向けには急速に悪化したキャッシュフロー対策の融資に対して国の保証を付け、金融機関の融資の活性化を図ることも必要でしょう。日銀は潤沢な資金を市場に放出するメッセージを出す一方、マイナス金利の深掘りはやらない方がいいと思います。

ただ、人々の最大の注目はオリンピックなのです。この行方がわからないことが最大のネックだと思っています。よっていつまでも希望的観測のようなコメントではなく、IOCとの協議の結果、どうなるというはっきりした答えを打ち出すべきです。3月中に決める、これが首相の最大のメッセージとなるのではないでしょうか?

首相記者会見でよかったのは「症状がある人の80%が軽症だ。重症化した人も半数は回復している」という発言でしょう。日本は高齢化社会なので免疫性が下がっている方は多いので楽観視はしませんが、必要以上に恐怖心を煽ってきた結果がドラッグストアの行列だと考えています。我々に必要なことは正しい知識と将来へのプラン、これに尽きると思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年3月15日の記事より転載させていただきました。