セブン&アイ・ホールディングスが本格的なペットボトル回収に乗り出すそうです。
冷蔵ケースにビッシリと陳列されてるペットボトル、これはセブンイレブンで思い出します。しかし、回収についてセブンイレブンのイメージはありません。あえていうならば、ゴミ箱でペットボトル用の穴が開いている分別ボックスかなという感じですが、今回の本格回収は、分別ボックスとは違ってペットボトル回収機という機械を店頭に設置していくそうです。
実はすでに設置されている店舗もあるそうですが、私はまだ見たことがありません。それはまだ設置数が少ないからですが、今年以降は年に1000台のペースで設置をしていくそうです。セブンイレブンだけでも全国2万店以上ありますから、少しずつ我々の身近なところで見ることになっていくでしょう。
今回はですね、「私達、環境にいいことやってます」みたいな見せかけの行動ではなくて、セブン&アイ・ホールディングスはどうやら本気に思えます。それはなぜかというと、回収するペットボトルをいわば買い取るということです。これ、現金ではないですが、1本あたり0.2円相当をセブンイレブンが発行しているnanacoポイントに還元する方式です。いずれにしても買い取る形をとってまでセブン&アイ・ホールディングスが本気になったのか。それは最近よく聞くようになってきたESG投資です。
セブン&アイ・ホールディングスは上場会社ですから、証券取引所で会社の株が毎日売買されています。その売買の要因がこれまでは何だったのかというと、セブン&アイ・ホールディングスが利益を出している、あるいは出せそうだということに対して、投資されてきました。そうすると、株価が上がり、企業体力がついて大きくなっていくという好循環になります。すなわち株を買う人、いわゆる投資家がこれまでの価値観は主に、利益第一主義だったわけです。ところが最近はそうではなくなってきたそれがさっき言ったESG投資です。
ESGとはE(Environment)は環境、Sは(Social)社会、Gは(governance) 企業統治です。言い換えるならば、環境に対する貢献、社会に対する貢献、より良い会社作りと言えそうです。株式市場で影響力のある機関投資家がどんどんこのESG投資に切り替えているんです。
その機関投資家の筆頭と言えるのが日本のGPIF、これは皆さんの厚生年金と国民年金の169兆円を運用している年金積立金管理運用独立行政法人のことで、世界最大の投資期間ともいわれています。そのGPIFが「今後は運用資金の全体をESG投資に充てると発表し、投資先に対してはESGを意識した経営を行うよう」促しています。これはなかなか思い切った発言だと私は思います。
こうした結果、セブン&アイ・ホールディングスのような取り組みに繋がっているわけです。
ESG投資は日本よりもヨーロッパが先んじて初め、昨年あたりからはアメリカでもそうなってきました。
ということは遅かれ早かれ市場から圧力を受けるということですから、後手に回るよりは先んじて取り組んだ方が評価も高まり、企業体力もついてくるということでしょう。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年3月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。