コロナウイルスとインフルエンザの違い

コロナウイルスはインフルエンザと何が違うのか。私のような感染症の素人に弁護士の吉峯耕平さんがこちらのサイトで分かりやすく説明してくれています(図表も同サイトから)。

(弁護士 吉峯 耕平氏のnote記事から)

(弁護士 吉峯 耕平氏のnote記事から)

コロナウイルスとインフルエンザの違い

コロナウイルスとインフルエンザの大きな違いは、感染のパターンです。図は模式化された感染パターンですが、インフルエンザは、感染者が平均値に近い二次感染を引き起こすとされています。だから、じわじわと連続的に感染していくのです。それに対して、コロナウイルスは、ほとんどの感染者が二次感染を起こしません。ところが、少数の感染者が大きな二次感染を引き起こすという特徴があるそうです。

この少数の感染者が引き起こす大規模な二次感染をクラスター感染と呼び、これが恐れられているのです。クラスター感染を抑えこむことができれば、大規模感染を阻止することができ、流行を収束させることができるとされています。

クラスター感染を防止するには「3つの条件」が必要

クラスター対策班がデータ分析や経験も踏まえて試行錯誤しながら導き出した集団感染の3つの条件は「密室・密集・密接」です。

3/9の専門家会議見解でも、これまで集団感染が確認された場に共通するのは、
・換気の悪い密閉空間であった、
・多くの人が密集していた、
・近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われた

としています。だから3条件を満たさない生活習慣を当面続けることで、クラスター感染を抑え、コロナウイルスの拡大を阻止できるのです。

通勤電車でコロナウイルスがクラスター感染しない理由

不思議に思っていたのは、満員の通勤電車では、なぜコロナウイルスに感染しにくいのかです。それは、3条件のうち密閉・密集の2条件を満たしますが、対面して会話するといった密接の条件を満たしていないからだとすれば、納得できます。あるいは、もしかしたら駅の構内の換気によって密閉の条件も満たされていないからかもしれません。

予防すべきはコロナウイルスへの感染ではなくクラスター感染

コロナウイルス対策は、コロナウイルスへの感染を予防することではなく、クラスター感染を予防することにある。これが今回気が付いた重要な指摘です。

既に日本国内には、検査を受けていない数千人以上の感染者が存在していると想定されます。その大半は症状が出ない無自覚な人や、軽症で医者に行かなくても自然治癒してしまう人です。しかし、そのような人が原因でクラスター感染を引き起こすと、非連続的な感染者数の増加をコントロールできなくなるリスクがあるのです。

まだ油断は禁物

3連休で外出したり、家族や友人と一緒に過ごした人も多いと思います。更に、海外から日本に帰国する人たちに対する入国規制(帰国後14日間のホテルや自宅での待機)もアメリカを対象国に追加するなど強化しています。しかし、どこまで強制力があるのか不明で、海外からの感染者がクラスター感染を引き起こすリスクもあります。

日本ではコロナウイルスは、ピークを超えたといった楽観的なムードが広がっています。しかし、非連続的な感染という特徴から、まだ油断は禁物だと思っています。

※吉峯さんの書いた内容をたくさんの方に読んでもらうために、自分なりに理解してまとめました。理解不足や誤解している点もあるかもしれませんが、その点はご容赦ください。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年3月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。