数学の世界には「7つのミレニアム懸賞問題」といったものを含め未解決難問が相当残っており、数学者が日夜研究室にこもりながら複雑な計算式と取り組んでいるようです。今回その世界で難問の一つとされている「ABC予想証明」をしたとして突然メディアのスポットを浴びた京大の望月新一教授は「旅行や国際交流が苦手で『何十年にもわたり、基本的には自宅や研究室に閉じ籠もって数学の研究に打ち込む生活を送ってきた』」(産経)とあります。これぐらいとことん突き詰めないと大天才と称する方でも偉業には達しないのでしょう。ABC予想が何だかさっぱりわかりませんが、明るいニュースですね。
では今週のつぶやきをお届けします。
注目のアメリカ雇用統計
雇用者は701千人純減、失業率は前月の3.5%から4.4%へ、これが3月の雇用統計の結果です。数日前にお知らせしていたように今回の発表はまだ失業保険申請が本格化し始めた3月12日までの数字を取りまとめたものです。ざっくり私の計算ではもともとの失業者580万人にCOVID19失業者130万人を足した710万人が今回の計算根拠。ところが3月の失業保険の申請者は既に1000万人を超えているので本質的な現時点での失業率は単純計算10%になるはずです。(母数は1.5億人です。)
実をいうとメディアの反応に反して思ったより少ないな、と感じています。業種でみるとサービス業と飲食業で減少幅のほぼ3分の2を占めますが、製造業に至ってはわずか1.8万人減にとどまっています。業種でムラがあるのです。さらに見ていくと平均賃金は0.4%プラス(年率3.1%)と上昇に加速がかかっているのですが、これは安い賃金の人が一時解雇されたという統計のマジックだろうと思いますので来月の平均賃金はもっと上がるとみています。
アメリカに於ける高い失業率と外出禁止に伴うストレスのたまり具合は尋常ではないと思います。日本人は我慢強いですが、私は北米でいつ何が起きてもおかしくないと思っています。また個々のビジネスを考える場合、post COVID-19(コロナの後)を視野に入れなくてはいけない中でV字回復のシナリオを描く中で個別企業による人の奪い合いも起きる気もしています。
無利子無担保の中小企業への貸付
日本政府が資金難に陥る中小企業に無利子無担保の貸し付けを行う議論が進んでいるようです。日本は果たして健全な貸し付け機能を提示することができるのでしょうか?各国で同様の貸し付けは行っています。例えばカナダでは4万ドル(3百万円)まで政府保証の無利子貸し付けのプランが発表されています。ただ無利子期間は限定されており、それを超えると5%の利息が課せられます。また使途制限が明白に決められています。
一方の日本政府の計画は用途制限のない資金給付を想定しているとあります。これは間違っています。資金は本当に必要な人に必要なものだけに使うこと、申請する会社は適正な税務申告を行い、税金の滞納がないことを条件とすること、申請条件として具体的に〇%の売り上げ減になっていることなどを基準とし、もしも違法、違反があれば厳しいペナルティを科すなどの飴と鞭を使い分けるべきです。
私は30万円の現金給付も含め、本当にそのやり方が正しいのかわかりません。実際に月収が減額した人はどうやってわかるのでしょうか?自営業者はどう判断するのでしょうか?いつもそうなのですが、日本はボトムアップ型の援助が主体なのですが、案外収入の中間層が一番苦しかったりするものです。今回の新型肺炎はほぼ全収入層への影響であるはずなのにどうしても消費税の減額はしない気でしょうか?何かしっくりこない気がします。
今、何をすべきか?
日本がまだうらやましいと思うのは自制を求められているとはいえ、多少、経済が機能している点です。ここバンクーバーのように北米の主要都市としては比較的緩い街でさえ、規制だらけ。エレベーターは一人ずつ乗れ、公園は閉鎖、歩くときは距離を置く、買い物はひとりで行け…と枚挙にいとまがありません。
こうなるとやることがなく1日ネットをだらだらと見ている人もいると思いますが、ここは思いきって自己啓発をすべきでしょう。私はフィットネスルームが使えないので外を走るか自転車に乗っています。仕事から戻ればひたすら読み物にふけっています。幸い、読むものには困らないし足りなくなれば2度読み3度読みをしますので1年間家に居ても大丈夫です。
結局、自己コントロールなのです。1日の計画を組み立て、こんな時でも規則正しい生活をするしかないのです。学校がない子供たちは多分、親の目を盗んでゲーム三昧、それも夜の夜中に友人とやっていることでしょう。非常にメンタル的に悪い状況だと思います。子供は自己コントロールできないので親が強制的にそれを組み立ててあげるしかないと思います。
私はこんな時期でも実は1週間の予定はほぼ足りないぐらいのペースで推移しています。また、人との接点はZoomが便利だと改めて感じています。セキュリティ上の問題が発覚しており、現在、同社では全技術者をその修復と強化作業をさせているようですが、この便利さは使ってみないとわからないでしょう。先日はZoom飲み会なるものもやったのですが、大変面白いです。何、飲んでんの、何、食べてんの?で盛り上がれます。高齢者には最適じゃないでしょうかね?
後記
河井克行、案里夫妻の現金バラマキ事件の行方が気になります。克行氏は法務大臣まで務めた人であるだけに安倍政権としては痛手でしょう。しかし、今時現金バラマキなんて流行らないことをするセンスって何でしょうか?関電の原発問題もばら撒かれてどうしようか困ったという話でした。現ナマと日本社会への浸透具合はまだまだ深そうですね。30万円の件も含めてですが。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年4月4日の記事より転載させていただきました。