東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。
緊急事態に突入した7都府県
さて、昨日4月8日から東京、大阪など7都府県は緊急事態宣言対象地域となっています。
本来であれば、東京都は速やかに「東京都緊急事態措置」を実施、感染拡大防止に向けて動き出さなければなりませんでしたが、この措置内容を巡って、都と国の調整がまとまらず実施は週末になるという「何のための緊急事態なのか?」と憤りを隠せません。
東京都は4月6日夜に記者会見を行い、東京都緊急事態措置内容についての基本的な考え方を説明していました。ですので、8日の0時になれば直ぐに動ける体制に入っていたのです。
しかし、東京都が公表してない、頑なに記者に対して示さなかった「休止要請措置対象施設一覧(案)」が6日からマスコミで報じられ、7日は朝から「床屋さん、ホームセンターなども対象」という報道がなされていたのでした。結果として、7日の緊急事態宣言発令に向けた衆議院の議院運営委員会において「理容室は含まれるのか?」という問いに西村コロナ担当大臣が「含まれない」と答えたことで大騒ぎとなったのです。
そして、実際に8日を迎えても理容室含む、幾つかの解釈を巡って国と都の調整が難航し先が見えていません。
また、今回は東京都だけでなく、近隣県も含まれるので、千葉県や神奈川県と足並みを揃えないと県境をまたいで人が殺到しクラスターが生じるなどの混乱が生じてはいけないなどを考慮している状況です。
しかし、東京都は首都ですし人や仕事の他とは集まり方が異なります。ですので、私たちは昨日、都知事側に緊急事態宣言により、特定知事として特措法45条に基づく強い権限を持てたのだから速やかに行使して頂きたいと要望を出しました。
総合調整の中で。対策本部長、特定知事
ただ、国側は今回の宣言の裏付けとなる「改正新型インフルエンザ特措法」20条に基づく、国と実施自治体との「総合調整」を行う必要があるんだという姿勢です。6日から東京都担当部署と内閣府の現場間の調整が続き、その周辺で私達も調整のサポートに回っているという状況です。
都の現場の声は「国が堅い」と言うし、内閣府は「都のガバナンスは大丈夫?」と言われます。このお見合いは基本認識の差があります。複雑になるので、出来るだけ簡素に噛み砕いて説明します。
そもそも特措法24条9項に
都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。
という条文があります。
ここでの対策本部長は各県の知事です。3月26日に政府対策本部が設置されたのを受けて東京都でも対策本部が設置されていました。ですので、少なくとも対策本部設置以降における小池知事が行っていた「週末の外出自粛要請」は24条9項に基づく、対策本部長の呼びかけだったと認識していました。
ちなみに45条になると文言が「特定都道府県知事は要請、指示ができる」となります。つまり、緊急事態宣言が出ると、特定知事になることが分かります。段階でいうと、(ノーマル状態)都道府県知事⇒都道府県対策本部長⇒特定都道府県知事となっていくのが分かります。
私自身がひっくり返る衝撃で、更に緊張感が高まったのは4月6日の記者会見でした。ここで行った東京都の宣言後の対応についての説明は、第一段階で24条の要請を行う、その後、45条上の要請、指示を行うというものでした。
「え!?」
私は慌てて、東京都の担当部局を呼んで、話を詰めました。
川松「今日の今日まで、東京都は24条を使っていないのか?」
職員「はい」
川松「どんな理屈で都庁役人は動いているんだ!」
職員「都の方針として、これから24条です。
川松「前提が全く違う。これじゃ国との調整はうまくいかない」
というやり取りがあったのです。
私が小池都知事に、国に緊急事態宣言を出す前でも、都知事は対策本部長として動けることは沢山やれる。どんどん動いて欲しいと様々なメディアで訴えてきました。
ところが、小池知事は総理や西村大臣に繰り返して「緊急事態宣言」を求めていました。その都度、内閣官房と連絡を取っていたわけですが、国は「一律のルール、方向性を示す」「都は24条9項でやれることは沢山ある」という見解を聞いていました。ですので、私は24条9項の権利を100%行使して、それでも限界が来たら国の指定を求めるのが筋だという話を都議会自民党PT内でも言い続けてきました。
しかし、前述の通りで、そもそも24条は使っていなかったのです。
今、ニュースなどで伝えられる床屋さんなどの話は45条の2に依る議論です。
特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。
これに対する施行令というのがあって13項目の業務類型があります。ここに理髪店という表現が出てくるんですね。
24条でやれば良かったという議論も今や遅し
小池知事が、理髪店やホームセンターがクラスターになり得ると考えるならば、緊急事態宣言が出る前から24条9項を行使して、先に警鐘を鳴らすべきだったという指摘があります。ここへ来て、国との交渉が難航するのは、45条ベースで各自治体足並みをと言ってテーブルについたのに、24条行使の話まで段階を下げて話すものですから、噛み合わない議論が続いたというのが簡単な背景です。
つまり、スピード感を求めていた小池知事に対して、都庁現場職員の段取りの差があり、結果として緊急事態なのに、手遅れな議論をしているという誰が見ても「馬鹿げている」と思われる状態を迎えているのです。これは、都知事が好きとか嫌いではなく、事実としてお伝えしておきます。
知事は方向性を示してリーダーシップを発揮する存在で、そこに役人の英知が加わり、この国難を乗り越えられるのです。営業補償も、役人がまやかしを知事に伝えて、不要不急の事業をストップすれば財源は捻出できるのです。
そもそも、24条をこれまで使ってこなかったのは「休業補償」を考えて、都役人が怯んでいたとする説もあります。私は腹を括って、東京はまず動くべきだと言い続けています。財源はまだ東京には沢山あるわけだから、今は一日も早く感染拡大を抑えなければなりません。コロナ感染症前に、経済で人命が奪われます。
僕は床屋さんたちの努力を知っている
それにしても、床屋さんが危ないとは私は思えないんです。識者は、顔剃りなどが危ないというのですが、床屋さんは常に保健所と連絡を取り合い、安全衛生に誰よりも気を遣っている職種の1つです。コロナ感染の心配が始まった頃から、私の地元でも保健所と連動し、美容師さんさん達と研修会を行い、マスクも確保し消毒に力を入れてきました。
先入観やイメージで危険だと言うならば、その根拠と床屋さんの現場の対策も踏まえて、決めて欲しいんです。小池知事の側近たちも、各保健所の話を聞くべきだと申し入れておきます。
そして、
このようなニュースも出ているが、あくまで西村大臣が言っているのは45条の取り扱いです。
特に45条の場合は、要請・休止した施設は公表するという項目ありますので、半ば強制力を伴います。出来るならば、24条で抑えていければと思っているという話も漏れ伝わってきます。とにかく、この協議は大詰め。お互いがお互いの文句を言わないで、今はボタンの掛け違えを経て、どう対処するかが最大の課題です。