今秋開催予定の現代アート展「ひろしまトリエンナーレ2020 in BINGO」(以下、「ひろトリ」)の実行委員会(会長=湯崎英彦・広島県知事)は4月10日、開催中止を決定したと正式に発表しました。
「ひろトリ」の公式ホームページは、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、収束の見通しが立たない状況の中、来場される皆さま、参加されるアーティスト等の皆さま、関係者の感染リスクを考慮し、慎重に検討した結果『ひろしまトリエンナーレ実行委員会』において、開催中止を決定しました」(一部抜粋)とのコメントを掲載しています。
「ひろトリ」問題に関して、ご存知の方も多いと思いますが、ざっとおさらいしてみましょう。
昨年10月初旬、ツイッターで朝日新聞のネット記事を目にしたことから始まりました。広島県尾道市の離島・百島で行われた「ひろトリ」のプレイベントを扱った記事で、昭和天皇を侮辱するようなコラージュなどが展示されていることを知りました。この時初めて、広島で「トリエンナーレ」が開催予定だと知り、目の前が真っ暗になりました。以降、「ひろトリ」における「公金支出の是非」をアゴラ等で問うてきました。
今年1月には広島などの有志の皆様が立ち上がり、「ひろしまトリエンナーレを考える会」が発足、湯崎知事に公金支出などを再検討する要望書を提出するに至りました。
また、プレイベントでの展示物について、県が「客観的な視点で展示内容の検討がされていなかった」との認識を示し、観光、地域経済、芸術の各分野の有識者でつくる委員会を新設し、展示内容を諮る仕組みを導入することになったのです。
左派は「芸術」をうたい文句に、また、隠れ蓑に、巧妙に公金を引き出し、“反日プロパガンダ”を繰り返しています。「あいちトリエンナーレ」での“成功体験”をもとに、「ひろトリ」で二匹目のドジョウを狙っていたはずです。
今回の「ひろトリ」の開催中止決定により、上記の委員会が本格的に判断を示す機会はありませんでしたが、こうした委員会を作るまでに至ったという点においては、“反日プロパガンダ”にくさびを打つという意味で、大きな一歩となったと思います。
何度も繰り返していますが、私は、「表現の自由」をないがしろにするつもりはありません。自分たちの主義・主張を知ってほしいのであれば、自らが出資したり支援者を募ったりした上で、私的な空間で展示すればいいでしょう。それを、公金、公的空間(美術館、学校など)をあてにして、しかも、イベントの開催趣旨に沿っているとはいいがたい「作品」を展示しようとするから、多くの納税者がノーを突き付けているのだと思うのです。
今回は広島が舞台となりました。こういったことは表面化しないだけで、全国津々浦々で起きていることでしょう。また、ある日、突然、当事者になりうることなのだということを自覚してほしいのです。この手の問題は、一度動き出す(公金を出してしまう)と、軌道修正をするには大変な労力を必要とします。
来年度以降、「ひろトリ」が開催されるかどうかは不透明ですが、公金支出に関しては、適正、公平性、公益性という観点から厳しくチェックしなくてはならないのだと肝に銘じておく必要があるのです。二度と、「ひろトリ」問題を繰り返さないため、教訓にしていただければ幸いです。
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昨年10月に私が「ひろトリ」の問題を訴えてから、広島県内だけでなく、全国各地から危機感を募らせた、たくさんの方々からネットを通じて厚いご支援、激励のお声をいただきました。この場を借りて改めて、心より御礼申し上げます。