パラダイム・シフト:唐突に新しい時代が到来しました

加藤順彦MSC

ブラックスワン:新型コロナウィルス(Covid-19)によって、唐突に新しい時代が到来しました。

4月10日、罹患による死者は10万人を突破しました。このままいっきに拡がり、全世界を覆いつくし、夏までに100万人は軽く超えるでしょう。

既に世界の半数の…35億人以上の人々が行動制限されています。
僕もここ2ケ月…家に籠り、テレカン(写真は参画先Hi-So高田さん)とランニングという日々です。

すべての人々に数えきれないほどの突発的かつ急場しのぎの生活様式が数週間~1年以上降って沸いて続いていますが、これらは果てに定着するでしょう。

不可逆な『パラダイム・シフト』です。
いま僕はこの先のグローバリゼーションは人の移動を抑えた形で進む可能性がかなり高いと思っています。

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故にこれまで12年…僕自身を司ってきた根底の前提 “自由なツーリズムの普及”を改めなくてはならないのではないか、と考えています。

2010年、僕が『若者よ、アジアのウミガメとなれ』講演を始めたのは、その2年前にシンガポールに移り住んで、これからの時代は アジアが世界の経済成長の推進役になる、ことを再確認すると同時に、自由なツーリズム … 誰もが気軽に(面倒なビザ手配の手間なく)手軽に(お手頃な価格の飛行機代で)安全に(SNS、LCC、ライドシェアの普及等)移動できる時代が来ることを確信したことが基盤にありました。

それが新型コロナウィルスによって、崩れました。

ずばり書くと、この先の世界は(数カ月から数年間)自由に世界を往来することができなくなる気がしています。

僕はこの12年間で東南アジア各国そしてインド、更にアフリカや南アメリカなど世界を訪れていますが
総じて言えることは、特に“衛生面、医療アクセス面” において日本やシンガポールに匹敵する環境が既に整備されている国は思いつきません。
いや、あるかもしれませんが、日本人にはハードルが高すぎる気がします。 (その状況は12年前も今も同じなのですが、これまでは新型コロナウィルスがなかったので、それを意識する必要がありませんでした。)

僕はこのブログや拙著『若者よ、アジアのウミガメとなれ』、またはSNS(twitter、facebook等)や講演活動において

「経済成長著しく、親日感情も高い、ASEANに出て行って、多くの学びを機会をつくろう、商機をつくろう」と唱えてきました。
が “自由なツーリズム”が崩れて、 ”衛生面・医療アクセス面での不安”が頭をもたげてしまった今、ASEANを手放しでお薦めすることはできなくなってしまいました。
また、
これまではビジネス参入における成長期待領域として (ウミガメなどでも)頻繁に

  • インバウンド界隈全般
  • 高齢化・高齢者むけビジネス
  • ライブエンターテインメント

を特に推してきました。今も間違ってはいなかったと思っています。

が、“自由なツーリズムの普及”という前提が崩れた現段階において、この先に日本に中国・東南アジアの富裕層が旅行(日本にとってはインバウンド)の客足が戻るのか… という点ではなんともいえないですし、糖尿病、高血圧、心臓病など、既に生活習慣病・基礎疾患のある人の重篤化リスクが高いことが既に判明しています。これから感染防止対策が確立するまでは高齢者むけの接触サービス提供は大きな懸念になることは否めません。

交流会、発表会などの参加/体験型を含め、講演、ワークショップ、演奏会、コンサート、握手会などファンの集い、プロスポーツ/ゲームなどの観戦、などあらゆるライブエンターテインメントに大きな可能性があると考えていましたが。今後は(バーチャル参加はさておき)生身の演者によるリアルイベントの方角はもう集まる/集めるというだけで疑問符がつきそうです。

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さて、ブラックスワンは1月下旬、確かに僕の目の前に舞い降りて、翼をばっさばっさと開いて、その姿を眼に焼きつけて …さーっと飛び去ってしまったのです。 もう“パラダイムシフトのとき” 自体は終わっています。

あとはそれを世の中が受け入れて、変わったことがフツーである世界…が定着するのに、どれくらいの時間を要するのか、ということです 。
なにより、僕が先ずそれに慣れないといけませんな。