窓口の感染リスクを防げ 〜 役所のデジタル化が急務

鈴木 邦和

こんにちは、都議会議員の鈴木邦和です。先週、渋谷の税務署を訪れていた男性が新型コロナウイルスに感染していたことが判明し、窓口が一時閉鎖となる事態が起こりました。

これは税務署に限った話ではありません。私のところにも、別の役所窓口で働く現場の方から「窓口が新たな感染源となるのは時間の問題」といった切実な声が寄せられています。窓口によっては一日に多くの相談者が訪れており、マスクをしない相談者もいる中で、未だに近距離の会話を続けています。

特に今回のコロナの影響で、中小企業を対象にした各自治体の窓口は大混雑しており、港区などは2ヶ月先まで予約待ちです。「人との接触8割減」が求められている今、こうした窓口業務は早急にオンラインか電話のみの対応に切り替えるべきです。

デジタル化の障害の一つは国

私は以前より東京都の行政手続きのデジタル化に取り組んできました。いま都民の方々の利用頻度が高い169種類の手続について、東京都はプロセスの簡略化とデジタル化を進めています。この169種類の手続きは件数ベースで都の手続きの98%を占めており、実現すれば人との接触機会が減るだけでなく、利便性は大きく向上します。

しかし、上述の169手続きの中で約3割の手続きは国の法令で規定されており、現行法令ではそもそもオンラインによる手続きが出来ません。先日、政府のIT担当大臣が「(印鑑が問題になるのは)しょせんは民・民の話」と仰っていて唖然としましたが、自治体から見てもこの分野は国が障害となっているケースが多々あります。コロナの感染拡大を防ぐという観点からも、ぜひ国には関連法令を迅速に見直して頂きたいです。

コロナを機に「お役所仕事」を変えよう

もちろん国ばかりが原因ではありません。昨今申し込みが殺到している東京都のテレワークの助成金に関しても「実印の押印を求められる」「そもそも必要書類が多すぎる」といった多くの不満の声を頂いています。行政としては、本人確認や不正受給防止の観点から慎重に設計している訳ですが、それを重視する余りカスタマーの視点が大きく欠けています。

私も民間時代に痛感したのですが、手続きが面倒だと途中で申請を断念したくなります。手間と受け取る金額が見合わないのです。そういうケースが多発するようでは、そもそも助成金の意味がありません。都民ファーストの会としても、申請書類・プロセスの簡略化を担当局に求めており、こちらも早急に改善していきます。

今回のコロナは非常に厳しい危機ですが、これまで変えられなかった「お役所仕事」を変える最大のチャンスでもあります。テレワークや協力金以外にも、東京都の各種申請や窓口に関してご不満がある場合は、ぜひ私たち都民ファーストの会までご意見をお寄せ下さい(フォームはこちら)。


編集部より:この記事は東京都議会議員、鈴木邦和氏(武蔵野市選出、都民ファーストの会)のブログ2020年4月18日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は鈴木氏のブログをご覧ください。