日経に「人生100年の計 稼ぎ方編」という特集がありした。まず、自分の生まれた西暦を入れると平均寿命と共に同じ年の人が2人に1人及び、4人に1人が生きられる年齢が出てきます。平均寿命はある程度知っていたのですが、4人に1人のケースの年齢は想定を超える長さでした。
そしてこのサンプルでできた一番若い2001年生まれを試すと男性は平均95歳で4人に1人は104歳、女性だと平均101歳、4人に1人は109歳と出ます。つまり、今頃生まれる子たちは普通に100歳まで生きるということであります。
これは現代の働き方と生活の仕方では人生設計が実現不可能であることが自明であります。日本の年金の設計は退職後約10年間ぐらい年金をもらって老後を過ごし、そしてお亡くなりになるような計算でした。ところがどんどん長生きするようになっているので原資産が足りなくなっているわけです。
大変失礼ですが、ブーマー層の方が激減するであろう10-20年後に年金問題は少し落ち着くのかという見方もあったのですが、いくら支払い件数が減っても年金の支払い期間が長くなる上に現役層がどんどん減っているのでどう考えても今の年金制度は維持できないか、支払いを大きく絞り込まないと機能しないことになります。
その時、政府に「年金をよこせ」「生活苦だ」と叫んでもない袖は振れないということになるでしょう。人生設計というのは昨日今日スタートして半年1年で完成するものではなく、生まれて物心ついた時から自分の全体の人生の長さを想定し、どうやって人生最後の4分の1を過ごすのか、計算しておかねばならないのです。
簡単な例えでは春夏秋冬で冬には外に出られないけれどこたつに入っておいしいものを食べて楽しく過ごせるプランをするのです。さもないと寒い雪空の中、屋外で震えながら過ごさねばなりません。だからこそ、春である20代前半までに人生を走り抜けられる知力体力を作り、夏である働き盛りの時に思いっきりストレッチをする、実りの秋にそれを一気に食べるのか大事に冬に備えるのか、という話です。
若者の中にはこの人生設計が50歳ぐらいで終わってしまっている人が割と多いのです。つまり春と夏。秋以降は考えられないというわけです。秋以降がないという意味はプランできないわけなのです。例の老後の2000万円の話が出たとき、普通に設計していればそれぐらいはすぐに貯まったはずです。それが無駄遣いをしてどこかに消えてしまったのは学校や社会、家庭でお金の話がタブーだったこともあるのでしょう。
では老後、ずっとお金が入ってくる方法はあるのか、であります。一般的には株と不動産が思いつきます。私は日本株も日本の不動産も長期的には期待感がありません。それは人口減少と財政負担が大きく、今のままでは日本がどんどん貧乏になるのは目に見えているからです。不動産も当然よいところを選ばないとテナントは入りませんしどうせ、これから不動産は余ってきます。
ではお前ならどうするのか、と言われると海外での投資かな、と思っています。人口が十分にある国の成長を買う、あるいはアメリカのように資本と知力とリーダーシップを取れるようなところに資金を振り向けるのは一手だと思っています。
そして海外投資の場合、為替も考えねばなりませんが円は超長期的にはかなり安くなると予想しています。今は詳細を述べませんが、参考比較は英国のポンドです。私は英国と日本の歩み方に一定の共通点を見ています。仮にその前提が正しければ英国ポンドは対円で1970代初頭から今日までの50年の間に8分の1ぐらいに減価しています。つまり、今の高い円の価値を利用して、何十年という投資をすれば円が仮に安くなればなるほどレバレッジが効いて非常に大きなリターンとなります。
また働き方も当然テーマになります。長くなるのでここでは触れませんが、何度も言うように専門の能力を身に着け、老後でも「何かあったらあの人に頼めばいい」という技術や知識、知恵、ノウハウを身に着けることです。更に老後も勉強し続け、自分の専門性に磨き続けることがもっと重要であるのは言うまでもありません。
そして一番大事なこと、これは自分のメンタルをハッピーにして前向きに生きるという気持ちを維持することでしょう。時折、老後生活を間近に控える方が人生の先行きに不安を感じとてもネガティブな発言をされることを目にします。気持ちを切り替える、ここにまずは注力したらどうでしょうか?
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年4月24日の記事より転載させていただきました。