法律ゴテゴテ:教訓にして前に進めるのか?

新型コロナウイルスの影響で感染症指定病院はもとより、呼吸器科や内科のある病院などは、やはり新型コロナウイルスの対応に追われているなど、医療機関はてんやわんやになっています。それらの病院に限らず、新型コロナウイルスと関係のない病気や怪我で病院に行くとなれば、新型コロナウイルスへの感染懸念もあり、そもそも外出を控えるということで医療機関に足を運ぶ機会が遠のいています。

そこで、オンライン診療を受けられるようにするために、厚生労働省は急いで対応しています。以前のブログでお伝えしましたが、「初診は基本的に対面にて行う」「保険適用になる疾患には限りがある」「複数回受信しているかかりつけ医でのみ、これまでと同じ薬が処方できる」などオンライン診療を受けるにはいくつかの条件があります。今回、オンラインによる初診診療の解禁と新型コロナウイルス感染流行期間に限り、服薬指導と薬の受け渡しができるようになります。しかし、バタバタと緊急時にやっている情けない状態です。さっきのような厳しい条件から、全国の医療機関でオンライン診療を受けられるというのはわずか1%をちょっと超えたぐらいでした。こういう緊急時だからやるというのは、決して美談じゃなく不幸です。

オンライン授業もそうです。学校が休校になっている今、文部科学省は教科書をネットで見ることができるように、著作権法の改正準備を進め、4月28日に改正施行されます。

従来は著作権などの問題からネットでは見ることができませんでした。しかし、ここは緊急事態だからということで、小中高や大学生の教科書が対象に今年度はオンライン授業の教材などとして、著作権者の許諾なしに文学作品や論文、新聞記事などの配信を可能になります。そもそも、教科書は国が検定してきたわけでしょ。

ちなみに私が知っている私立高校では、すでに全校生徒にこのChromebookを配布して、休校中の今でも毎日授業やっています。同じクラスの生徒が、同じ時間に、同じ教師の授業をリアルタイムでオンライン授業を受けています。ぶっちゃけ偏差値の高い進学校です。こういうことを言いたくはないですが、新型コロナウイルスが終わっているか否かわかりませんが、受験シーズンになったら、「この差をどうするんだ」「教育格差じゃないか」などと政府を批判したりするマスコミの騒ぐ姿が目に見えています。

オンライン診療やオンライン授業が、今まで進んでこなかった理由をはっきり言いましょう。
既得権と利権などから起こる現場の反対です。

オンライン診療もオンライン授業も、今回は特例で緊急だからということです。そらくコロナが終わったらまた元に戻と思いますし、よくて半歩前進でしょうね。しかし、世界はこれを教訓に一歩も二歩も進めるはずです。

本当に自民党もこういう利権を断ち切って物事を前に進めないと、5Gの時代ではもっと加速度的に日本は遅れていきますよ。遅れることは、生産性が低く、経済的にどんどん貧乏になるということです。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年4月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。