東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。
コロナ対策補正予算成立
先週、今週でコロナ対策補正予算を審議する臨時議会が開催されました。
中でも予算を集中的に審議する特別委員会も設置され、私は理事として委員会運営に携わりました。23日が予算の賛否を問う日でありましたが、私は自民党を代表して討論に立ちましたので、私の原稿を下記に入れます。他の会派とは角度が違う内容になったと思います。特に、私なりのエッセンスもだいぶ入っていますし。
4月22日 臨時理事会 討論
東京都議会自由民主党を代表し、本臨時会に付託された議案について討論を行います。
冒頭、新型コロナウイルスでお亡くなりになられた方のご冥福と、今も、病と闘っている多くの方の一日も早い回復を、心からお祈り申し上げるとともに、医療関係者の皆さまはじめ、生活インフラを支える方々の献身的な取組に敬意を表します。
土淵裕交通局長の突然の訃報に接し、心から哀悼の意を表します。
さて、国内で新型コロナウイルスの感染が始まり、4月7日に政府が緊急事態宣言を発出してから半月が経過しました。都においても、都民に対して外出自粛や休業要請を行うとともに、知事の専決処分や本臨時会に提案された補正予算などにより、感染拡大の防止、都内の経済活動の支援など、各種対策に取り組んでいます。
こうした対策は、首都圏はもとより、全国そして国や区市町村としっかり連携し、官民を挙げて取り組むことが必要ですが、最も大事なのは、都民の皆様の正しい理解と協力です。都民が一致団結し、この難局を乗り越えていくには、都の取組の方向性と対策の必要性を十分理解していただくことが欠かせません。
知事は3月23日の記者会見で、「事態の今後の推移によりましては、都市の封鎖、いわゆるロックダウンなど、強力な措置をとらざるを得ない状況が出てくる可能性があります」と発言されています。専門家会議の中でも、手法の一つとして言及されていたようですが、知事として「ロックダウン」という措置を取るかもしれないと発言することは、全く別の話です。知事が都民に直接伝えたのです。
知事がなすべきは、こうした言葉で恐怖心を煽り、無用な混乱を引き起こすことではなく、冷静に事態を受けとめ、合理的かつ効果的な対策を具体的に都民に提案し説明することです。危機の実態を正しく把握し、危機から脱出するための手立てとともに、その間の苦難をどう乗り越え、危機が過ぎ去った後、どのように立ち直っていくのか、その大きな方向性を、「総合的」に、都民に示すことが都知事の役割です。
知事は、国が緊急事態宣言をする前に、都の緊急事態措置についてあえて言及し、その後、結局、国と調整することで時間をロスしました。また、制度設計もないまま、休業要請等に協力した事業者には感染拡大防止協力金を支給すると発表したため、協力金がどのように支給されるのか、多くの事業者の方を混乱させています。
同一業種の中でも、未だに、対象か対象外かが分からず、困惑しているといった問い合わせが相次いでいます。緊急時であればあるほど、「スピード感」だけでなく、分かりやすい制度設計にしなければならないのです。一方で休業要請はされなかったが、外出自粛の影響で実質的に休業状態だといった声も多く聞かれます。コロナで客足が遠のき、廃業したというニュースも流れています。
こうした中、都の感染拡大防止協力金は、来月に支給を決定し、順次支払い手続きを進めていくとのことです。実際に役立てていただくためには、スピード感を持って支給する同時に、多くの事業者の方に広く納得いただける形で進めていくことを、強く要望しておきます。昨日の特別委員会で指摘したように、緊急事態宣言から半月が経過し、自粛要請がいつまで続くのか、都民は不安の中で、日々の生活を送っています。
懸命に、感染拡大を抑え込む努力をしている都民にとって、補正予算総額がリーマンショックの時より大きいか少ないか、そのようなことは全く意味がありません。予算額の大きさが、対策の有効性を担保するのではありません。対策の中身が、今の都民ニーズにどれだけマッチしているかが大事なのです。
中でも、医療崩壊を避けるために、医療の最前線で、感染症と対峙している医療従事者の方への支援の充実が欠かせません。また、ホテル等を活用して軽症の方の宿泊施設を確保する際には、対応の長期化も視野に、対策に関わる方の感染防止も含め、持続可能な体制整備を図ることが必要です。
そして、都民の不安の根底にあるのが、PCR検査数の不足です。検査体制の拡充に向けて、地域医療機関との更なる連携と、発熱外来センターの設置を進めるとともに、コロナ専門病院の設置を強力に進めることも重要です。なお、オンライン診療に関しては、導入予定の医療機関もまだまだ少なく、誤診リスクへの不安の声も聞きます。そうした医療現場の声に則し、今後、実効性のある形で、導入を進めるべきです。
また、特措法には保健所設置市という概念はなく、東京都は、広域自治体として、保健所業務も含め、全ての事務を一元的に実施できるとされています。知事は、保健所は区の管轄とか、国が決めることなどと言わずに、法の趣旨を踏まえ、保健所を含めた、効果的対策の実現に取り組む責任があるということを、改めて申し上げておきます。
様々な感染拡大防止策を進めていく上で最も大事なのは、切に、医療現場の声を聞くことです。実際に活動している方のニーズを踏まえた実効性のある対策の実施を求めておきます。
そして、自宅で頑張っている児童生徒そして、保護者のために、教育活動の再開に向けた事前準備、民間と連携したオンライン教育など、早急に取り組むことも必要です。
一方、東京の経済活動を維持・継続していくことは、感染終息後に、社会生活を一刻も早く立て直すために、極めて重要です。
外出自粛の影響による経営状況の悪化は、そのお店と取引している事業者に波及し、市場流通はもちろん、生産、物流と影響は広がっていきます。 このため、東京の経済全体を見渡した総合的対策が必要ですが、民間が既に取り組んでいる対策もあります。貴重な財源を投入するのですから、行政がやるべき事業を、冷静に判断し、実効性のある取組を進めていくことを求めておきます。
また、コロナ感染が拡大する中、いつ発生するか分からない自然災害への対応も喫緊の課題です。避難所における感染防止対策など、区市町村とも連携し、都としての対策強化を進めるべきです。コロナウイルス対策は、このように多方面に大きな影響を与えています。東京都の行財政運営のパラダイムが変わったとも言えます。
令和2年度予算の修正はもとより、都の財政基盤の健全性を保ちながら、大胆な財政投資を行うなど、思い切った対応も必要です。今回の新型コロナウイルスの感染拡大防止への取り組みは、深刻な医療の課題であると同時に、都民の日常生活や経済活動の細部にまで複雑に絡み合う非常に重い課題です。
医療関係部門だけでなく、多くの都の職員が力を合わせて、コロナ対策推進のために、様々な場面で感染拡大防止に取り組んでいます。そのリーダーである都知事には、不退転の覚悟で取り組んでいただくことを、強く要望しておきます。
我々都議会自民党は、感染リスクのある中、感染防止対策に全力をつくしている方々とともに、この難局を乗り越え、都政を前に進めるために全力を傾けていくことをお約束申し上げ、知事提出の全議案に賛成し討論を終わります。
編集部より:このブログは東京都議会議員、川松真一朗氏(自民党、墨田区選出)の公式ブログ 2020年4月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、川松真一朗の「日に日に新たに!!」をご覧ください。