炎上続きのWHO、今度は集団免疫“否定”ツイート削除騒動

アゴラ編集部

IPI公式サイトから

新型コロナウイルス(COVID19)対策を巡り、見解が二転三転して炎上続きのWHO(世界保健機関)だが25日夜に、今度は公式ツイッターで、抗体の効き目を否定するかのようなツイートをして物議を醸した末に、ツイートを削除。新たに釈明のツイートを出し直す騒ぎがあった。

WHOは日本時間の25日19時33分付で、「COVID19から回復して抗体を持つ人が、二次感染から保護されたというエビデンスはない」とするツイートを発表した。

WHO公式ツイッターより(現在は削除)

これは、この日、各国政府に対して通知した声明文を受けたもので、通知では、「各国政府に対し、新型コロナウイルスについていわゆる『免疫パスポート』や「安全証明書」などを発行しないよう呼びかけた。ロックダウン(都市封鎖)や行動制限緩和の目安として、抗体検査の結果を利用しようとする動きに、釘を刺した」ものだ(文言はBBCニュース日本語版)。

しかし、集団免疫戦略を展開中のスウェーデンでは抗体検査の分析結果から、首都ストックホルムなどで人口の4分の1が感染しているとする推計を発表。当局者が集団免疫獲得の可能性にも言及して世界的に注目を集めている(参照:NNNニュース)。また、死者数が世界最多のアメリカなど他国でも抗体検査が進んでおり、経済活動の再開を模索する動きは強まっている。

BBCニュースは、ウイルス免疫学が専門の大学教授がWHOが意見する前の段階で、抗体検査の必要性を訴えていたコメントを紹介しており、ネット上でも賛否を含めて波紋が広がった。

誤解の拡散を恐れたためか、WHOは日本時間の26日午前6時過ぎになって、ツイートを削除し、釈明投稿を連投。

今日、WHOは「免疫パスポート」に関する新しい科学的ブリーフィングについてツイートしましたが、スレッドが原因で懸念を生じました。この際、次のことを明確にしておきたいと思います。感染しているほとんどの人たちは、ある程度の保護をもたらす抗体反応を開発します。

と述べた上で、

どの程度保護されるか、そしてそれがどのくらい続くかはまだ分かっていません。私たちは、世界中の科学者と協力して、COVID19に対する体の反応に対する理解を深めていますが、これまでのところ、これらの重要な疑問に答えた研究はありません。

などと付け加えた。

WHOとしては結局は、抗体の有効性についてあくまで未知であると強調。経済・社会活動の再開を急ぐ各国政府を牽制する立場に変わりはないようだ。テドロス事務局長が中国寄りの姿勢で、なおかつ年明けに「ヒト−ヒト感染」を否定していたことなど、発言の信用性が地に落ちた経緯から、特に右派系のネット民を中心にこのツイート削除についても不信感は根強い。

ツイッターでは、

WHOが抗体について否定してるのはただの風邪だとバレたら困るから。コロナウイルスなんて変異したもの含めればかなりの種類あるんだから、型が違うものにかかれば重症化しても不思議じゃない。各国の献金で成り立ってる組織なんてそんなもん

なーんか消極的で、事態の収束に否定的に聞こえます

などとコメントする人たちが相次いだ。

アゴラ研究所の池田信夫所長は今回の騒ぎについて「WHOの封じ込め方針に従った国がロックダウンで大混乱になっているので、集団免疫を否定するために『コロナは感染しても抗体ができない』と発表したが、世界中の専門家から『そんなバカなことあるのか』と突っ込まれ、あえなく撤回。もう国際機関として機能していない」と総評していた。