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日本とは比較にならないコロナでの犠牲者を出したフランスがロックダウンを解放に向かいます。すでにデンマーク、ドイツが解放しており、フランスが続きますが、なんとイタリアも追随します。本日はフランスの首相が全国民に向けての演説を入手したので公開します。
まずフランスの現況です。
こちらは日本
フランスの人口は6700万人で日本の人口の半分。死者を100万人あたりの人口比率で見ると
フランス362 日本3
なのでフランスは日本の121倍亡くなりました。
28日の新規感染者数も
フランス2638 日本122
で、日本の21.6倍も新規感染者がいます。人口比で見ると40倍以上です。
西浦先生は「日本の新規感染者が1日100を切るまで制限しろ」とおっしゃってるようですが、どこの国がそんなこといってんのと。どんなエビデンスがあって主張されているのかお聞きしたい。エビデンスもないのに「個人的な意見です」とか絶対許さない。
ではなんでそれでもフランスは解放に向かうのか。それは↓にもあるように
いつまでも続けるわけにはいかない。経済的にももたない
からなのです。前回のエントリーにも書きましたけど
中小企業の倒産予測から5/6に緊急事態宣言が終わったとしても恐ろしい結果になる試算で身震いした
このままでは5/6で自粛をやめたとしても1000万人級の失業者がでる可能性大です。こうなったらイタリアのように国立公立病院のスタッフも削減せざるを得ず、コロナで医療崩壊されずとも経済で医療崩壊します。
また、三密を避けろ、自粛しろといくら言われても、生きていかないといけない。職安や市役所には生活保護や失業手当を求めて1000万人が押しかけるわけですから、まったく意味なくないですか? 5月下旬まで自粛させて経済崩壊して役所に押しかけた人たちで感染爆発!
そういう意味で、4月28日,フィリップ首相が国民議会において5月11日以降の制限解除等に関して演説した内容が在仏邦人に在フランス日本国大使館から送られてきたメールには、苦渋の決断が切々と書かれているほか、意外と日本の政府よりも詳しく具体的な指示があり
なんがなんでも8割減らせ
みたいな抽象的で意味のないことは書かれていません。こんな抽象的なことをいうから「どこに根拠があるんだ」と少し頭の良い層は怒りを覚えるのです。
フィリップ首相が国民議会において5月11日以降の制限解除等に関しての演説
From: 在フランス日本国大使館
日付: 2020年4月29日(水) 3:00
件名: 【緊急】フィリップ首相の演説(5月11日以降の制限措置解除等について)
To: ●●●
・4月28日,フィリップ首相が国民議会において5月11日以降の制限解除等に関して演説をおこなったところ,概要を以下のとおりお知らせします。
・演説においては,5月11日以降の基本方針として,「ウイルスと共に生きる」,「段階的」,「地方毎に」が掲げられ,マスク,検査,隔離,学校,テレワーク,商業施設,移動・公共交通機関,スポーツ等について述べられました。
【現状認識】
- 3月17日以降,戦時下や感染爆発の際にも前例のない制限措置をとっているが,いつまでも続けるわけにはいかない。経済的にももたない。
- 現在の様々な制限は有効であり,医療体制の崩壊を防いだ。4月14日以降,入院者数は減少に転じ,4月8日以降,重体患者数も減少に転じている。
- 段階的に,確実に,賢明に,制限を解除してくべき。
- これから5月11日以降の制限解除方針について説明するが,今後状況が悪くなるようなことがあれば,5月11日という日付は後ろ倒しになる。
- 医療体制は維持されているが,医療従事者は疲れ切っている。
【5月11日以降の基本方針】
- 我々はウイルスと共に暮らさなければならない。ワクチン開発や集団免疫の形成はまだ先の話。ウイルスが広がるスピードを抑えなければならない。
- 5月11日以降も毎週状況を確認し対応していく。6月2日以降,新たなフェーズに入れることを期待しているが,仮に第2波が確認されたら,再度外出制限に戻る。フランス国民の民度の高さを見せて欲しい。
- 段階的に,そして地方によって濃淡をつけて制限を解除していく。地方・県によって状況は大きく異なる。明日から,カステックス制限解除担当長官を中心として各県議会等との協議を開始し,明後日からは,各県の民間団体とも協議を開始する。5月7日までに,各県毎の方針を固めていく。
- 「ウイルスと共に生きる」、「段階的」、「地方毎に」が、基本方針の3本柱。
- 5月11日以降を一言で言えば,「防御,検査,隔離」である。従来どおり,社会的距離,手洗い等を徹底していただきたい。
(防御(マスク))
- 多くの状況においてマスク着用が推奨される。科学委員会による見解の変化もあった。マスクは殆ど意味が無いとしていたが,あるに超したことはない,と意見が変わった。
- 従来我々は,医療用マスクを20週間分備蓄し,その他は輸入に頼っていたが,EU,米等と同様に,輸入が出来なくなり,需要が供給を上回ってしまった。
- 我々は,マスクの国内生産を5倍に拡大し,医療従事者に優先的にマスクを供給し,布マスクの生産も開始した。現在,週に1億枚のマスクと2000万枚の布マスクを生産することができる。5月11日には十分な量のマスクが供給される。
(検査)
- 5月11日以降,週に70万件の検査を行う。全ての検査は保険で100%カバーされる。科学委員会は,一日当たり1000~3000の陽性者を見込んでいる。
(隔離)
- 各県は,陽性者から濃厚接触者や伝染のチェーンを特定しなければならない。
- 陽性者が出た場合は,その家族も検査されなければならない。
- STOPCOVID(投稿者註:新型コロナ陽性患者との接触の可能性をユーザーに警告するアプリ)は補完的な役割を果たし得るに過ぎないが,STOPCOVIDに関する議論や開発はまだ十分ではない。
【各論】
(学校)
- 5月11日以降,保育園,幼稚園,小学校は再開可能とするが,登校は自由とする。マスクやジェル等を供給するが,子供のマスク着用は義務づけない。
- 5月18日以降,中学校を再開可能とする。マスクを市町村から供給するので,先生も生徒もマスク着用を義務とする。
- 幼小中学校は,15人以下のクラスとする。保育園は10人以下とし,医療従事者の子供が優先される。
- 高校は当分閉校。5月末に,6月2日から再開できるか検討する。
(企業に対し(テレワーク))
- 6月2日まで,テレワークは継続して欲しい。不可能な場合は,ローテーションを組む等して欲しい。
- 業種毎に,コロナ対応マニュアルを作成している。現在33のマニュアルがあり,今後60まで拡大するので参照して欲しい。人と人との距離がとれない場合はマスクを義務付けて欲しい。
- 部分的失業制度については,6月1日まで延長していく方針。
(商業施設)
- カフェ,レストラン,バー,ディスコ,大型ショッピングモール(4000平方メートル以上)以外の商業施設は5月11日以降再開可能。カフェ等は,6月2日以降の再開を今後検討していく。
- 市場も5月11日以降再開できるが,地方自治体の判断で閉めることも出来る。
- 商業施設では,1mの距離や人数制限,マスク推奨等につき,配慮する必要がある。
(移動外出・公共交通機関)
- 5月11日以降,100km以下の移動は解禁。10km以上(100kmの間違い?)や県をまたぐ移動は現状どおり特別な場合(家族の理由等)に限られ,証明書が必要。
- RATP(投稿者註:パリ交通公団=パリとその周辺地域の公共交通)は70%程度に回復。市内交通は元に戻していく。席数は半減。
- タクシーも含め公共交通機関を利用する際は,マスクは義務。
- TGV, intercite等の長距離移動は増やさない。チケットは要予約。
(文化・スポーツ等)
- 安全が確認されれば公園等も解放されるが,10人以上の集団利用は不可。
- コンタクトスポーツ・集団スポーツも不可。ビーチは6月1日まで閉鎖。
- 図書館や,地方の小規模な美術館は5月11日以降再開。
- 大型美術館,博物館,映画館,コンサートホール,パーティールームは引き続き閉鎖。
- 大型フェスティバル・スポーツイベント等は,9月まで不可。サッカー2019-2020シーズンも再開せず。
- 宗教施設は5月11日以降再開されるが,宗教行事は6月2日まで禁止。お墓参りも,5月11日以降可能。
- 市役所の結婚式は5月11日以降も再開されない。
このメールは,在留届にて届けられたメールアドレス及び「たびレジ」に登録されたメールアドレスに自動的に配信されております。
内容のポイント
非常に細かく指示されています。
たとえば学校の再開について。
- 5月11日以降,保育園,幼稚園,小学校は再開可能とするが,登校は自由とする。マスクやジェル等を供給するが,子供のマスク着用は義務づけない。
- 5月18日以降,中学校を再開可能とする。マスクを市町村から供給するので,先生も生徒もマスク着用を義務とする。
- 幼小中学校は,15人以下のクラスとする。保育園は10人以下とし,医療従事者の子供が優先される。
- 高校は当分閉校。5月末に,6月2日から再開できるか検討する。
とありますが、日本の感染症学会で発表されたように
子供は罹りづらく、かかってもほとんど重症にならず、しかもウイルスを出さないというエビデンスに基づいていると思います。つまり、年齢の低い子供はマスク着用も義務づけない。中学校はワンテンポ遅れてしかもマスクは義務、高校は当分閉校というのが非常に考えられているわけです。これなら納得できますよね。
そして大規模なクラスターにならないように、大型のイベントは中止するかわりに、図書館や小規模な美術館はOK。日本と同じく夜の町のクラスター傾向があるせいか、バーやディスコはダメ。カフェは20日くらい遅れての解放予定です。
いろいろなソースを見ますと、先進国では複数の専門家が自分のプランを持ち合い、プレゼンする。ところが日本では西浦教授1人だし、どうみても具体的なプランは立てられるタイプではない。なので
なんがなんでも8割減らせ
というめちゃくちゃ抽象的なものになる。おまけに「風俗は規制できないから普通の人たちがその分我慢しろ」とか意味が分かりません。なんで風俗好きのオッサンのためにひとりで自転車乗ったりサーフィンしたり走ったまでガーガーいわれないといけないの。
●業種毎に,コロナ対応マニュアルを作成している。現在33のマニュアルがあり,今後60まで拡大するので参照して欲しい。…..って、そんなもん、見たこともないわ。
そんなわけで、ちょっとはバケットでも食ってフランスの爪の垢でも煎じて飲んで欲しい。
以上、怒りのエントリーでした。
こんなに減少していてすでに解放したドイツやデンマークとは比較にならないのにさらに5/7も続けるとなったらおれは許さんぞ。そりゃ感染症の専門家は解放して患者が増えれば責任問われるから、経済崩壊なんてお構いなしで「とにかくもっと締め付けろ」って言うに決まってる。専門家を交えて討議するなら、ほかに自殺に詳しい精神科の専門家と経済の専門家は絶対入れて貰いたいです。
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編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2020年4月29日の記事より転載させていただきました。