『大原 れいこさん(おおはら・れいこ、本名犬養麗子=いぬかい・れいこ=テレビプロデューサー)4月27日午前10時1分、膠芽腫のため東京都内の病院で死去』(時事通信)というニュースが流れていた。
「オーケストラがやって来た」「五嶋龍のオデッセイ」などの音楽番組を多数手掛けたテレビプロデューサーの大原れいこさんが亡くなりました。84歳でした。祖父は大原美術館(岡山県倉敷市)を設立した実業家の故大原孫三郎氏、夫は元共同通信社社長の故犬養康彦氏。 https://t.co/KpMn2pyFuk
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) May 1, 2020
「大原れいこ」というのは、ペン・ネームで、本名は結婚して犬養麗子になっておられる。大原は旧姓だから、もとの名は大原麗子である。
といっても、この女性の背後に日本近代史の超名門が連なっていることに気付かれる人は少ないだろう。
実は、彼女はもともと大原麗子の名前でテレビ・プロデューサーとして結構有名人だった。ところが、あるとき、この名前がとんでもない誤解を生むことになった。
1968年にクラレの社長・大原美術館理事長などを歴任した大原総一朗氏が死去したときに、「父・大原総一郎」といった記事を総合雑誌に「大原麗子」の名前で書かれたのである。
それを見たら、誰でもあの女優の大原麗子さんが書いたと思った。しかし、大原麗子は文京区の和菓子屋の娘だとして知られていたから、みんな混乱して、「もしかして女優・大原麗子はあの大原財閥の隠し子」と勘違いする人もでた。
それがきっかけかどうかは知らぬが、本物の令嬢・大原麗子さんは、大原れいこで仕事をされるようになったようだ。
1963年にTBSに入社し、70年に番組制作会社テレビマンユニオンを共同で設立。「オーケストラがやって来た」「五嶋龍のオデッセイ」などの音楽番組を多数手掛け、長野冬季オリンピック開会式の「第九」衛星生中継の海外統括プロデューサー、コンサートの企画・制作なども務めた。指揮者・小澤征爾が生地である奉天(瀋陽)を訪れるという番組を製作したこともある。
その夫君の故犬養康彦は、元共同通信社長で、その関係で、大原れいこ氏自身が共同通信の女帝だなどという噂もネットなどで流れた。犬養康彦氏のの父は元法務大臣で佐藤栄作についての指揮権発動でも知られる犬養健。5・15事件で暗殺された犬養毅元首相の子である。そして、犬養健の庶子がキャスターの安藤和津、その娘が女優の安藤サクラだ。また、犬養健の従姉妹の娘がJICA総裁などを務めた緒方貞子だ。
この犬養家も岡山県の庭瀬の出身だが、その隣の倉敷きっての名門が大原家で、総一郎の父である孫三郎は大原美術館の創立者だ。
総一郎の長男が当主で中国銀行頭取や大原美術館理事長、倉敷商工会議所会頭をつとめた大原謙一郎であり、長女が麗子、そして、次女が美智子上皇后の弟で日清製粉の社長だった正田修の夫人である泰子である。
大原謙一郎氏は加計学園の理事も務めていたことがあるが、その縁かどうか知らないが、秋篠宮殿下が岡山理科大学を訪れられたことがあるが、殿下の上皇后の実家への心配りかと話題になったこともある。倉敷商工会議所の会頭が地元の加計学園の理事になってもなにも特別なことでないのだが、安倍首相の場合と同じく、邪推を働かしたい人の想像力は留まることを知らなかった。
日本有数の名門から皇室、有名女優まで次々と登場する、華麗なハイソサエティに生きた女性の生涯は、これからもいろいろ話題になることだろう。