経営難のバルセロナ、8月には資金が底をつくこと必至

コロナウイルス感染拡大でスペインのサッカークラブはこれから厳しい経営を余儀なくさせられる。特に、リーグのトップを争うチームはどこも選手への年俸が非常に高くそれが今後重くクラブの経営に伸し掛かることになる。

バルセロナのジョゼップ・マリア・バルトメウ会長(FCバルセロナ公式ツイッターより)

メッシがプレーするバルセロナ・クラブは8月には資金が底をつくことになるのは必至だ。数年前からバルセロナの経営は不安視されていた。しかも、5億6000万ユーロ(607億円)の負債も抱えている。

これまでスポンサー収入、スタジアムの入場券売上、チャンピオンリーグに参戦して得る収入、テレビ放映権による収入、クラブのミュージアム(年間130万人が訪問)の入場券の売上、クラブショップの売上などなどの収入で経営は賄われていた。

ところが、コロナウイルス感染の影響でスペインは非常事態宣言の発令による封鎖で試合はすべて中止され市民の不要な外出も禁止された。ということで、バルセロナ・クラブはこれまでの収入源がゼロとなっている。出費はあるが、如何なる収入もないという状態になっているのだ。

今夏のバルセロナはチームの強化に選手の獲得を色々と計画していた。ところが、コロナウイルス感染拡大で高額の資金を払って選手を獲得することは不可能となっている。できるのは選手同士の交換だ。バルセロナチームのグリーズマン、デンベル、コウチーニョ、セメド、ユムティティ、あるいはアトゥール、ビダル、アレニャといった選手が交換の対象にされるかもしれない。(参照:okdiario.com

3月31日のラジオ『セール・カタルーニャ』のインタビューでバルトメウ会長は次のように語っている。「すべてのプロスポーツそしてサッカーもパンデミア以後はこれまでとは違ったものになるのは確実だ。我々は調整を既に開始した」「バルセロナ・クラブは最も収入の多いクラブだ」「今年は数十億ユーロの収入を予定していた。2月末まで多額の収入があり、予定していた10億5000万ユーロ(1260億円)を上回る見込みであった」「それが今、ブレーキがかかり、その収入を達成できなくなっている」と述べ、更に「今夏は資金がなくなり、どのクラブも選手同士の交換をせねばならなくなると思う」と語ったのである。(参照:elespanol.com

当初、メッシも望んでいるネイマールを取り戻す予定であったが、資金がないことからそれも不可能とフロントは見るようになっている。

3月14日からバルセロナ・クラブには収入がなくなっている。しかも、選手が給与の2か月分から70%を削減してクラブの一時解雇(休業補償)された社員が貰っていた給与を100%保障することになった。(政府が給与の70%を提供し、クラブが残り30%を負担する)しかし、クラブはその調整は2か月しか見ていない。

仮に景気の回復が見られず、3カ月先も社員の給与100%保障となると現状ではそれは選手と合意がされていない。実際、スペインが置かれている現状から見て2か月で景気が回復して一時解雇した社員を再度雇用し直すことは殆ど不可能である。ということから、フロントはこの面での問題も解決を迫られることになる。

更に、クラブの新たな問題として発生したのがコンサルタント「i3 Ventures」にバルセロナのネットでのイメージの強化と一部選手を批判することを依頼していたことである。この依頼したことへの問題はそれほど重要とは見なされていない。問題は同コンサルタントに98万ユーロ(1億1760億円)を支払っていたということなのである。通常、この種のオペレーションの費用は12万から15万ユーロ(1440万円ー1800万円)が相場であった。

この様なスキャンダルを起こしたバルトメウ会長のクラブのマネージメントへの不満が爆発してフロント陣の中から6人が辞任するという事態になった。(参照:okdiario.com

コロナウイルス感染拡大による経営難と今回のスキャンダルが重なってバルトメウ会長への信頼が揺らいでいる。会長の選出が来年予定されているが、バルトメウ会長の再選は難しくなっている。