長引く休校措置は、学習権の侵害になるか

子どもの学習権、教育を受ける権利は尊重しなければならないが、緊急事態宣言の発出に伴う休校措置が直ちに学習権の侵害に当たる、などという考え方は、私は取らない。

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休校措置は、あくまで新型コロナウィルスによる感染拡大防止のための予防措置であり、決して恣意的であり、かつ不合理極まりないものだ、などという批判は当たらない。

勿論、何らかの代替措置を講じる責任が学校関係者行政当局にあることは当然で、何らの代替措置を講じないまま漫然と休校措置を続けることが許されないことには格別の異論がないはずである。

必ずしも違法とは言えないが、しかし、長引く休校措置で子どもたちの学習権が侵害されている、という指摘は、そのとおりだと思う。
長引けば長引くほど学習権侵害の程度は深刻になる。

オンライン授業等の実施である程度はカバーできる部分もあるだろうが、やはり基本は対面授業の実施だろうと思う。

休校期間が3ヶ月にも及ぶということになったら、そう簡単には学習の遅れは取り戻せないのではないか、と心配している。

9月入学、9月始業制への移行を検討した方がいいだろうと提言するようになったのは、実質的には子ども達の学習権の保障の観点からだった。

夏休みを返上して、集中的な授業の実施で学習の遅れを取り戻す、というのが、オーソドックスな代替措置ということになるだろうが、夏休みを返上させることが本当に子ども達にとってプラスになるだろうか、ということを考えての、9月入学、9月始業の提案である。

参考にされるもよし、参考にされなくてもよし、といったところか。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2020年5月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。