朝日新聞が海外メディアの報道を引用し新型コロナウイルスへの日本政府の対応を非難する記事を掲載したが、肝心のコメントや論評が政権批判の立場で知られる日本人専門家によるものだったことなどから、「朝日新聞はこれを『海外から批判続出』に含めるなんて恥ずかしくないのか」「フェイクニュースと断ずべきレベル」などと記事への批判が噴出している。
朝日新聞は7日、「コロナ対応に海外から批判続出 政府、発信力強化に躍起」と題した記事を掲載し、Yahoo!ニュースには「政府のコロナ対応、海外から批判続出『終結は困難』」との見出しで配信。
記事は、海外から日本政府に「特にPCR検査数の少なさ」への批判が相次いでいるとし、具体例として、
- 英紙ガーディアンは「日本は検査の少なさで批判されている。日本のやり方は症状が軽い感染者を特定し、追跡することを困難にしている」と指摘
- 英BBCは「日本はPCR検査数を増やさないと、パンデミックの終結はかなり困難」という専門家の厳しい見方を取り上げた
- 米紙NYタイムズは「新型コロナウイルスの感染拡大への日本政府の対応は驚くほど無能」との論評を掲載
などを挙げ、「現政権に対する信頼は、海外メディアだけでなく国民からも失われている。(広報の)技術を磨いても説得力は増さない」という専門家のコメントで結んでいる。
だが実際にガーディアンの記事を読む限り、当該箇所はむしろ日本国内(または海外)での論調を紹介しているだけに見え(しかも後に続く部分で引用されているのは朝日新聞の記事)、「ガーディアンが日本の検査の少なさを批判」と伝えるのは言い過ぎのように思われる。
またBBCとNYタイムズに関しては、両紙の取材相手がどちらも日本人、かつ現政権批判の立場にあることで知られる英キングス・カレッジ・ ロンドン教授の渋谷健司氏と上智大学教授の中野晃一氏であったため、ネット上では、
朝日新聞「海外から批判続出」
英BBC「日本は検査数を増やさないと、パンデミックの終結はかなり困難」という専門家
→渋谷健司先生かなと思ったら渋谷健司先生でした!
BBCの記事なのは事実ですが、朝日新聞はこれを「海外から批判続出」に含める際、恥ずかしくならなかったのでしょうか。
「海外から批判続出」って、どこの政府や研究機関が…って、思うじゃん?
本文を見ると…
BBC東京特派員の書いた記事の「渋谷教授」のコメント…
ニューヨーク・タイムズに日本人の教授が書いた「オピニオン」(ちなみに立派な「アベガー」さん)…
…こんなのばっか。
と逆に朝日新聞への批判が噴出。
東京外国語大学教授の篠田英朗氏は、「朝日新聞が『海外から批判続出』と書くって、フェイクニュースと断ずべきレベルなのでは」と酷評していた。
また作家・ジャーナリストの門田隆将氏は「朝日がいつもの反対の為の反対。PCR検査数が少なくとも医療崩壊を持ち応え人口10万あたりの死者が桁違いに少ない日本」と指摘し、藤原かずえ氏は「(海外メディアも朝日も)自尊心を満足させるために(日本政府のコロナ対策は過剰だが失敗していないという)現実を無視する彼らこそ最高に惨め」とコメント。
リベラルの論客として知られる東浩紀氏も、「日本は現実として死者が少ないのに、なぜ失敗と言われるのかわからないし、なぜ国内メディアがそれを喜んで紹介するのかもわからない。かりに日本政府が死者数を隠していると考えるなら、まずそれを調査・報道すべき」と今回の報道のおかしさを指摘していたが、
やはり記事に同調して政権を批判する人も少なからず見られた。
このように、反応は完全に「左右」が分断している状態に見えるが、東氏のようにリベラル論客でも冷静な見方をしている人もおり、今回の騒ぎは、左右分断というより事の本質を読む力があるかの個人差が浮き彫りになったのかもしれない。