給付迅速化のため(だけじゃない)のマイナンバー活用の抜本的加速

マイナンバーの活用については、政府だって政治家だって随分前から様々考えて取り組んできた。しかし、結局カードの普及率は2割以下であり、また、カードを取得したところで、諸外国のように政府が直接口座に給付を振り込めるわけでもない。

個人情報保護とかプライバシーとか正直、多少便利になるけど死活的ではない、様々な理由で普及に至っていないし、サービス内容も諸外国と比べると貧弱だ。

でも、コロナ危機で枝葉末節よりも本当に必要なことに向き合わなければならなくなった今こそ、デジタル経済の基礎インフラともいうべきマイナンバーの活用について、諸外国並みに抜本的に加速するべきだ。

今、政府も考えている与党も野党も心ある人は考えているし進めようとしている。そうした取り組みの加速になればとの思いから、8日、女性議員の会で要望書を要路に提出した。マイナンバーによる個人給付の迅速化はシングルマザーやフリーランスや貧困層など「弱者」にこそ恩恵があるからだ。

菅官房長官に要望書を手渡す「女性議員飛躍の会」(左から3番目が筆者)

以下趣旨を説明したい。ここには限られた、しかし死活的に重要な点(預金口座と納税情報との連動)についてのみ要望されているが、きちんと普及してきちんと安全性の担保された運用が確保されれば、オンライン診療から、金融サービスからもう本当にさまざまなことに活用が可能なのだ。

諸外国では、コロナ対策における国民への支援は、わが国のマイナンバーに該当する国民ID制度が活用され、極めて迅速に国民の手元に届けられている。これは、国民からその都度の申請を待つことなく、納税情報に基づくなどして政府が各人の適正規模を決定して直接、速やかに口座振り込みができている等による。

しかるに、我が国のマイナンバーカードについては普及率がそもそも2割に満たないという問題があるが、それだけでなく、マイナンバーカードを保有していたとしても、現時点においては振込口座情報が紐づけされていないため、本人からの申請というステップを経ずして支援を送金することができない。

また、マイナンバーと納税情報とも紐づけがなされていないため、納税情報を活用してコロナ対策のための適切な支援を個々人について個別的に判断することが困難である。本来10万円一律給付ではなく、たとえば富裕層は除外するとか、低所得層はより手厚く支援するといった調節も、納税情報が活用可能であれば、よりきめ細かな支援の在り方を現実的に実施することも可能であるが、現在は、それが法的に許されていないために利用できない状況にある。

これは、個々人についてもまた法人についても同様のことがいえる。国民にとっても企業にとっても支援は迅速に手に届くことが重要である。

コロナとの戦いは長期戦の見込みである。また、コロナ以外にも、今後、新たな感染症や災害など様々国家的に対応しなければならない事態が生じる可能性もあることに鑑みれば、この際、マイナンバーを利用して諸外国並みに速やかで適切な給付を可能とすることは、国民の生活を守るために急務である。特に弱者にとって迅速に給付が手元に届くことは死活的である。

さらに、コロナ危機により経済の在り方も一層のデジタル化が見込まれるところ、デジタル経済の基礎インフラともいうべきマイナンバーカードの活用の在り方が、現在のように制限されたままでは、コロナ後の世界における日本経済の復活は心もとない。

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政府においても、マイナンバーカードについては、様々な利用拡大の在り方が検討されてきたところであるが、わが国がデジタル経済における「後進国」と化さないためにも、マイナンバーの有用性が改めて認識されている現在、将来を見据えてマイナンバーの活用の抜本的促進を図るべきであると考える。

1. 個々人及び法人はマイナンバー(法人の場合は法人番号)と紐づいた口座を指定し政府や地方自治体が給付のために利用可能とする。緊急措置として、まず、10万円の一律給付金その他マイナンバーカードで今回申請がなされた者については、登録された振込口座を当面コロナ対策においての振り込み口座とする(※「世帯主」への給付を固定化する趣旨ではない)。

さらに、今回の定額給付金に限らず、持続化給付金、緊急小口資金、給付型奨学金、被災者生活再建支援金、年金、国税還付金等、公金の受け取りに広く迅速に利用でき、また、世帯主ではなく個々人が直接受領できるよう、各マイナンバーカード保持者の公金受領用の口座を登録することを促進する。さらに、全ての銀行口座とマイナンバーの付番を義務付けるよう取り組む。

2. 今回のコロナ危機及び今後の様々な危機対応において、政府(国、地方自治体)が適切な支援を決定するにあたっての参考情報として、納税情報(資産状況を判断するため)等を利用することを法的に可能とする。(マイナンバー法改正)

3. マイナンバーカードが広く普及することは,国民生活の向上と行政コストの削減にも繋がる。ついては、今後、支援を行う際には、マイナンバーカード加入申請を促す具体的措置を取るとともに、マイナンバーカード利用者については給付額を上げる(実際、行政事務負担が少ないので合理性はある)などして、マイナンバーカードの普及をこの機に大胆に促進する。

4. 希望する個人が速やかにマイナンバーカードを取得できるよう、現在作成に2か月を要するとされるマイナンバーカードの作成のスピードを上げるための施策を講じる。

5. 個人については出生届時にマイナンバーカード取得を促す取り組みを行う。


編集部より:このブログは参議院議員、松川るい氏(自由民主党、大阪選挙区)の公式ブログ 2020年5月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は、「松川るいが行く!」をご覧ください。