なぜか産経しか報道していないらしい籠池動画を見た。夫妻は悪人などでなくむしろ能天気、が印象だ。でなければ、一部野党や菅野完氏らにああも易々と反安倍の片棒を担がせられることはなかったろう。そこに自覚だけは持つに至ったようだが、ならばこの3年、国会を空費させた責任をまず詫びよ。
大筋はけりが付いたと思っているので、筆者が夫妻から一番聞きたいのは「昭恵氏からの100万円の寄付」の真偽だ。が、その前に、この問題は「総理がそんなことをいったのが原因」との趣旨を夫妻が述べる、「総理も、議員も辞める」についておさらいする。
平成29年2月17日の衆院予算委員会での福島瑞穂氏の質問に対する答弁でその発言は出た。(以下は議事録。太字は筆者)
〇福島・・土地を買う値段もおかしければ、設置の認可の状況でもおかしいというのがこれなんですね。あえて言いますけれども、この小学校の名誉校長とされているのが安倍昭恵先生という方で、右を見ると、安倍晋三内閣総理大臣夫人と書いております。この理事長の籠池先生の教育に対する熱い思いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきましたと。この事実、総理は御存じでしょうか。
〇総理・・この事実については、事実というのはうちの妻が名誉校長になっているということについては承知をしておりますし、妻から森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いております。ただ、誤解を与えるような質問の構成なんですが、私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。
「誤解を与えるような質問の構成」に、総理は「この認可あるいは国有地払い下げに」私や妻や事務所がかかわっていたら、との前提を置いた。「かかわる」のは学校の「認可あるいは国有地払い下げ」だから昭恵氏が名誉校長であろうと無関係だ。が、ここが不正確に切り取り報道され、人口に膾炙した。
では、名誉校長を受けた時の様子はどうだったか。報道では、大勢の保護者らの面前に講演のため登壇した昭恵氏が、容易にそれを断り難い状況の中で籠池氏が就任を要請したようだ、その目的と様子こそ夫妻は正直に語るべきだ。
その日、福島氏は小学校や寄付用紙の名義についてもこう問うている。
「御寄附を賜りました方には、安倍晋三記念小学校の寄附者銘板にお名前を刻印し、顕彰させていただきます」と。私は、これは、総理が悪いと言っているんじゃないんですよ、利用されているだけじゃないかと思うんですけれども、こうした名目でお金を集めているということを総理は御存じでしたでしょうか。
総理は、総理をやめた時に「私の考え方に非常に共鳴している方で、その方から小学校をつくりたいので安倍晋三小学校にしたいという話」が昭恵夫人からあったが、断ったと述べた。
この土地を最初に騒いだ木村真市議は福島氏や辻元氏に近い。動画でも籠池夫人から彼や辻元氏に対ししばしば恨み節が漏れる。籠池氏も、辻元氏が塚本幼稚園に押し掛け、足を敷地に入れたのは不法侵入じゃないか、と同調する。この夫妻はお互いを立てて、底抜けに夫婦仲が良い。
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そこで100万円の寄付、籠池氏は昭恵氏から「安倍晋三からです」と渡されたという。平成29年3月23日の籠池氏の証人喚問では、この100万円の質疑が繰り返された。
籠池氏は「平成二十七年の九月五日に昭恵御夫人に当園において講演会をして」いただいた際に、「封筒をいただき」、「上の方から拝見しましたところ、金子が入っておりました」。「お人払いを」されたので、「二人でございました」などと述べる。
西田昌司議員は、昭恵氏から聞いた話として、「二人のお付きがずっと一緒だった」としたが、水掛け論になった。が、そのあと「夫人にですね、あなたは何か小学校の開設について頼んだと。で、安倍総理には頼まれたんですか」と問うた。
籠池氏は、「安倍総理の方にはもう直接一切お願いしたことはございません。安倍昭恵夫人を通じていろいろなことを御相談申し上げたことはあります」と述べるも、議員から「相談したのと頼んだのとは全然意味が違うんですよ。何を相談したんですか」と畳み掛けられ、しどろもどろにこう述べる。
「瑞穂の国記念小学院の、について、この、このような副読本はどうでしょうかとかお見せしたこともありますし、こういうふうなカリキュラムですけどということをお話ししたこともありますし、まあ一つ一つ教育的なことをお願いしたということでございます」
つまり、私や妻や事務所が「もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめる」と述べたような趣旨でのかかわりなどないことは、この証人喚問の時点で疾うに明白なのだ。
この日、枝野氏と福山氏は「十万円を講演料として渡したというお話もそのときにあります」とも質問をした。総理側が仮に寄付をしたところで、それが何かの犯罪を構成することなどない。が、10万円は昭恵氏が受け取り側だ。
籠池氏はこう述べた。
「十万円の講演料も、もう先に用意しておりましたので、その百万円をいただく前に用意しておりまして、そして、もう御講演を終わられて帰るときに、お帰りのときにお渡しをいたしました。お菓子の袋に、その封筒というか、十万円入っております封筒に感謝という銘を入れまして・・」
先の2月29日の予算員会でも福島氏は総理にこの10万円について、昭恵氏は名誉校長として報酬をもらっていたか。また講演料は受け取っているのかと問い、総理は「報酬も講演料も全く受け取っていないと聞いております」と答えている。
総理は、3月29日の参院予算員会でも白真勲議員の質問に対し、(昭恵氏に対し)「先方がお車代等で講演料として出す場合はございます。その場合は、もちろんちゃんと銀行に入金をし、そして申告をしているわけであります」と述べている。結局、昭恵氏からの100万円も、籠池氏からの10万円も藪の中だ。
証人喚問で枝野氏は籠池氏にこうも問うている。
「百万円は籠池さんの側が講演料として、お礼としてお渡しをしようとしたんだけれども、昭恵さんの方がそれは結構ですとお断りになったので、だからその分を寄附に充てたんだというようなことをおっしゃっている方がいるんですけれども、そういうことはないですか」
籠池氏は「事実は小説よりも奇なりであります。私が申し上げていることが正しゅうございます」と述べた。が、当時の状況なら昭恵氏の100万円寄付は別に「奇」とは思えない。が、菅野氏が枝野氏のいうような筋書きを描いたなら「奇」だろう。筆者はこれが本筋と今も思っている。
夫妻は動画で、管財人や建設や設計の会社が補助金詐欺の主犯だという。大阪維新も悪くいう。そうかも知れぬが、世間の興味はそこにない。財務省の改ざんの新情報も夫妻にはない。筆者は夫妻に、財務省に高く土地を売りつけられそうになった被害者の一面を見る。
が、N国の立花氏と組むなど、誰が敵で誰が味方か未だに良く判っていない。学校を作りたかっただけ、との気持ちは伝わる。が、もし動画を続けるなら、取り留めない話をする前に、ご長男も交えて敵と味方を良く整理することを夫妻には勧めたい。