「盲目的反体制という名の体制」こそ民主主義最大の敵

この記事は、
第1回「ドラゴンボールで理解する経済再開の為のコロナ対策
第2回「盲目的韓国追随でなく日本の国情にあったコロナ対策を
の続きです。

6. 「民主主義を危うくする本当の敵」とは?

日本におけるコロナ対策が必ずしも完璧ではない(欧米よりはかなり成功しているわけですが)状況に不満が高まっているのは、反アベのリベラルな人たちにとっては千載一遇のチャンスなわけですよね?

その時に、ちゃんと医療現場の人の声に耳を傾け、議論を整理し、混乱を収束させる方向性を打ち出すことができたら、「おお、リベラル派の人たちのリードで国を動かしてっても混乱しない、ちゃんとやれそうだな、次は投票してみよう」ってなるわけですけど。

実際に今のリベラル派の人の多くがやってることって、「これで政府にバーカバーカ!って言って騒げるネタができたぞ!」ってなってるだけですよね。

国会前での左派系平和デモ(Wikipediaより:編集部)

で、神様目線で批判して、お得意の太平洋戦争の事例もってきて「日本人って馬鹿だよねぇ(まあ知的な俺サマは例外だけど)」しぐさ…

そういう行動で国民の「信頼」を得られると思ってんの?て話ですよ。

結果としていつのまにか、支持率の野党第一党が維新になっちゃったじゃないですか!!!

そりゃ維新が好きな人も嫌いな人もいるでしょうが、反アベ的リベラルな精神からすると、維新なんて自民党以上に問題があるんじゃないんですか?

それに、混乱が続いたら、今のゆるゆる緊急事態宣言じゃなくてもっとハードな法的措置が必要だって声も当然高まってきますよね?憲法改正に利用しようとする政治勢力も当然出てくるわけですよ。

そうならないためには、「僕がいちばん、ガンダム(この国)をうまく使えるんだ!」的に率先して議論を整理し、国難を乗り越えるのに「役立つ」ことを考えるべきじゃないでしょうか。

そのためには、錯綜する情報の中から、「どれが一番アベ叩きに使えるか」じゃなくて「どれが本当の情報で、今どういう方針が必要なのか」についてちゃんと責任もって精査する姿勢がないと、13億人の中国人とそのシンパが「まだ民主主義なんかで消耗してんの?」って強烈にアピールしてる時代に民主主義なんて維持できないですよ。

ネットやワイドショーでよく見る「クラスターナントカみたいなのじゃなくて韓国方式を!」とか言う主張は意味がわからないというか、あんたら単に韓国アゲができて日本サゲができたら中身はなんでもいいのか?って感じです。

そういう態度こそが民主主義の最大の敵なんですよ。

「批判してナルシスティックに騒げれば中身はなんでもいい」っていう「自己目的化した反体制という名の体制」が日本では強すぎるから、逆に現実の政治をグリップし続けるために政権がわがやたら強権的なことをしたり公文書偽造したりすることになって、結果としてそのイザコザに巻き込まれて自殺する官僚も出てきたりするんですよ。

自殺した官僚を殺したのは、半分は政権の責任、半分は「自己目的化した盲目的な反体制という名の体制」のみなさんの責任なんです。

韓国だってどこだって基本は接触者追跡調査(日本で言うところのクラスター対策)をやってるわけですよ。例の宗教団体とか、ソウルのコールセンターとか、基本的には日本と同じクラスター対策を、日本よりも充実した人員と容赦ないITツールで徹底的にやっている。

とにかく韓国を見習え!と騒ぎたいのなら、ぜひ「接触者追跡能力の増強」というテーマでバンバン突き上げていただければと思っています。その点については当面はいくら主張しても問題ないと思います。

韓国から見習える点もたくさんあるし、個人情報等の問題で彼らの方策の中で私たちが取り入れるべきでない部分もまたあるでしょう。

最近ではその韓国版対策のITツールのあまりの容赦なさが逆にプライバシー的問題になりつつある(ゲイの感染者がゲイクラブに行った事が公開されて強制アウティングになった事件)みたいですから、他山の石として、むしろ人間ベースで対策していく日本のやり方の可能性も大きいはず。

今日本で準備されているITツールはGPS情報などを丸裸にしてしまう韓国のものとは違うタイプのもので、そこで「プライバシー配慮」をちゃんとしているぶん、人員レベルの追跡能力は韓国を何倍するような拡充が必要なのではないでしょうか?

「中華文明圏(+韓国)」とは違うレベルのプライバシー配慮が求められる欧米において、「接触者追跡の大部隊(コンタクトトレーシングアーミー)」を用意する論調が高まっているのは、IT的に丸裸して監視することができないぶん、「ローテクの人海戦術」の大増員が必要なことが認識されているからだと思います。

欧米では最初は全然議論が拡散していても、徐々に「何が必要なのか」を適切にフォーカスしていく仕組みは一応生きているように思います。

一方で日本では、「いかに気持ちよく政府にバーカバーカって言えるか」みたいなバイアスが燃え盛っていて、いくら医療現場がわが「問題なのは単なるPCR検査の数じゃないんだ」と反論しても、「欧米や韓国じゃそんなこと言ってないぞ!」的な権威主義で吠えまくる人たちがいるので、いっこうに冷静な事実に基づく議論が進みません。

そのあたりの「議論」をちゃんとやれるようになれば、日本も「自民党以外がリードしても大丈夫っぽいな。リベラル派にもう一回政権を任せてみてもいいかも?」って思ってもらえるようになりますよ!

そしたら、多少なりとも強権的なことをやる政権が出てきたり、公文書偽造するような問題が起きたら、ちゃんと一発レッドカードで退場させることも、やっと可能になるわけですからね!

まとめ

今回の連続記事はここまでです。「青い線を最小コストで下げ続ける方法」の方は、連載次回に掲載します。

「新しい生活様式」をブラッシュアップしていって、「ダンスwithコロナ」を最小コストで乗り切るためのアイデアの1つとして、日本の製造業で見られるような、「学問的インテリと、マイルドヤンキー的現場人材との相互作用」が大事なのだ…という話をします。

製造業に限らず、日本で「働いてる人」なら自然にするような発想をちゃんと活かしていくことで、「学問知を担う凄く勉強できる一握りの人」の力しか吸い上げられない欧米社会の多くの国にはできない可能性を、結集していく方法について述べます。

専門家会議を批判する声が高まっていますが、もしあなたが「クリリン」がわの立場にいたら、そう簡単にゴーサインは出しづらい・・・という気持ちもわかりますよね?

「抑え込んだ」はずだった韓国でも感染者数の再拡大が確認されており、結局今の時点でどうであろうと最終的には「ダンスwithコロナ」をいかにうまくできるか…が大事になってくるのは変わりません。

連載の次回の記事で述べるような方法で、再生算数を下げきれずに、もう一回何らかのロックダウンが必要になってしまったら、さらに物凄い経済ダメージを受けることになります。

もしあなたが「ヤジロベー」がわの立場にいるなら、「オレンジ色の線を上げる」方法と、「青色の線を最小コストで下げ続ける方法」の後押しが何かできないか、考えてみましょう。

そうすれば今、「もう二度と経済止めなくて済むように自分たちだけでなんとかしなくちゃ」的に孤立無援に抱え込んでしまっている”Z戦士たち”=専門家会議の人たちに、日本中からの「元気玉」的サポートを送ってあげられるでしょう。

そうすれば、専門家会議の人たちも経済再開にゴーサインを出すことがたやすくなります。

既に感染者ゼロ県では色々と再開が模索されています。東京や大阪の感染者数も落ち着いてきている。あとちょっと、あとちょっとですよ。

この記事で書いたような方向で、

「ダンスwithコロナ」を再開したら、もう二度と「ハンマー」には戻らないぞ!!!という決意

…で、国難を乗り越えていきましょう!

私たちならできますよ。

  • この連載の趣旨に興味を持たれた方は、コロナ以前に書いた本ではありますが、単なる極論同士の罵り合いに陥らず、「みんなで豊かになる」という大目標に向かって適切な社会運営・経済運営を行っていくにはどういうことを考える必要があるのか?という視点から書いた、「みんなで豊かになる社会はどうすれば実現するのか?」をお読みいただければと思います(Kindleアンリミテッド登録者は無料で読めます)。「経営コンサルタント」的な視点と、「思想家」的な大きな捉え返しを往復することで、無内容な「日本ダメ」VS「日本スゴイ」論的な罵り合いを超えるあたらしい視点を提示する本となっています。
  • この記事への感想など、聞かせていただければと思います。私のウェブサイトのメール投稿フォームからか、私のツイッターに話しかけていただければと。

倉本圭造 経済思想家・経営コンサルタント
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