コロナでデイサービスが9割経営悪化、介護崩壊阻止へ必要なこと

acworks/写真AC

介護崩壊の危機が予想以上に早く迫っている印象をもった。

現在909の介護サービス事業所が休業中の他、NHKによると、「全国介護事業者連盟」は今月12日までの1週間、1800余りの介護事業所に新型コロナウイルスの経営への影響を調査。

デイサービス事業所の90%余り、ショートステイ事業所の76%が「影響を受けている」と回答したとNHKが報じた。

デイサービス事業所 90%余 新型コロナが経営悪化(NHKニュース)

厚生労働省は介護現場に持続化給付金、新型コロナが疑われる利用者には電話診察を可能とし診療報酬を算定できるようにしたり、危険手当の支給を決めたようだ。

ところが、新型コロナの感染リスクと闘っている介護職員や介護施設経営者全員への現金支給が実現していない。

一方、新型コロナは収束の気配をみせているがいつ第二波、第三波が訪れ介護施設がひっ迫するか予断を許さない。

そこで、政府と介護者が今後必要なことを体験談、取材、データと共に考察する。

介護職員の危険手当は不十分

産経新聞によれば、厚生労働省が新型コロナが発生した介護職員に「危険手当」を支給し、具体的な支給開始時期は自治体による異なるという。

ただ、支給条件は入所施設や通所施設で感染者や濃厚接触者が発生した施設に限定している。これでは大半の介護職員が危険手当なしで新型コロナの感染リスクを恐れながら、業務に従事することになり気の毒すぎる。

大阪の吉村知事が医療従事者に1人あたり10~20万の「クオカード」を今月中に支給予定だが、”政府も少しは見習えよ”と言いたい。

日本の介護施設の新型コロナに関する死者数は78人でアメリカは25600人、フランスは24760人など諸外国と比べ圧倒的に少ない。

国は介護職員の方々をもう少しリスペクトし、吉村知事のような迅速な対応が望まれる。

 

危険手当支給検討も期待薄

介護職員だけでなく持続化給付金以外の介護施設への手当も急務だ。

「全国介護事業者連盟」のアンケートでは、デイサービスが91%、ショートステイが76%、訪問介護が47%、有料老人ホームが37%、特別養護老人ホームが17%、グループホームが13%。

「NHKニュース7」(5/18放送より)

介護施設の経営難は日帰りで入浴、食事、レクリエーション、リハビリをうけるデイサービスと短期間介護施設に宿泊するショートステイが高い。

一方で、有料老人ホームや特別養護老人ホームなど入居施設が低い傾向だ。

介護経営難の原因は新型コロナに伴う利用者減少で売り上げ低下、衛生用品などの価格高騰による経費の増加が多く、資金繰り悪化の声も聞かれるという。

知人の介護経営者は「衛生用品が高くなりマスクだけで月10万単位。消毒用品も高く手に入らない。コロナを恐れ利用者の減少も重なり運営していけるのか」と不安を口にする。

先日、保健所を取材した際、担当者が「介護施設の経営がピンチという問い合わせが増加し対応に苦慮しています。厚生労働省からの具体的な指針に期待します」と話していた。

 

要介護1の介護者は在宅介護をベースに

介護現場を守るために国や政府の対策と共に必要なのは利用者家族の協力が不可欠だ。

厚生労働省によれば、介護サービスの要介護度別利用者の割合は、約35%が要介護1と比較的軽症者が利用している。

厚生労働省「平成29年介護サービス施設・事業所調査の概況」より引用

介護サービス名 要介護1
訪問介護 31.0%
通所介護 36.1%
通所リハビリステーション 33.1%

内訳は介護サービスで通所介護(36.1%)、次いで通所リハビリステーション(33.1%)、訪問介護が(31.0%)。

※通所介護・・・デイサービスで入浴、昼食、リハビリ、レクリエーションを介助。
※訪問介護・・・後述しますが、食事、入浴、トイレの移動、オムツ交換、着替えなどを本人の自宅で介助。
※通所リハビリステーション・・・デイサービスと介護サービスに大きな違いはありませんがリハビリを中心に身体機能の維持や回復を図る施設である。

要介護認定は要支援1~要介護5まで7段階あり、訪問調査員が本人に心身の状況を色々質問した結果と主治医の意見書で要介護度が決まる。

要介護1は「片杖歩行や身だしなみなど日常生活や身の回りなど何らかの介助が必要で排泄・食事などは自立可能な人」が対象。

これでいうと、要介護1の人は自宅や外出する際は介助があればより安心で、尿や便や食事は一人で食べられる人。

日中であれば一人で自宅にいてもさほど問題ないレベルといえるだろう。

ただ、1日8時間週2回デイサービスを利用していた本人や家族が突然全ての時間を在宅介護にシフトするのは困難。

デイサービス週2回を週1回の利用に減らしたり、ヘルパーなど短時間の介護サービスを利用し在宅介護の時間を増やす努力が望まれる。

協力者がいれば在宅介護、いなければ施設利用

本人の要介護度が低くても、介護の協力者がいる人といない人で介護サービスの利用を分けるべきだと考える。

主に4つのケースが考えられるので、まとめてみた。

①主介護者しかいない場合→介護サービスを。

②主介護者以外に協力者が複数いる→交代で在宅介護に協力を。

③主介護者以外に協力者が共働き→職場とテレワークなど調整の上、調整可能なら在宅、不可能なら介護サービス利用。

④主介護者以外に協力者がいるが産休や病気→介護サービス利用を。

①の主介護者しか介護者がいない場合は、仕事をする、しないに関わらず介護サービスの利用をオススメだ。

筆者はほぼ一人で認知症の祖母を介護したが、一日中一緒にいるとメンタルを崩しかねない。例えば、認知症だと要介護1でも体はしっかりしているがボケの進行過程の中で財産が管理できなくなる場合がある。

祖母の場合、要介護1で一日で年金を使いきったり、財布を喫茶店に忘れたりした。ケアマネジャーから「筆者が管理して下さい」と言われ管理をはじめるものの、本人は「自分のお金を使われた、返せ」とほぼ一日中怒る(物盗られ妄想)。

参照:在宅介護の限界 正社員になれなかった30代男の6年間

このようにシングル介護は過酷なため、極力人の手を借りたほうがいい。

②日頃、身内の介護に携わらない人に「介護手伝って」と言っても、簡単に「はい、わかった」とはならないのが大半でしょう。とはいえ、今は緊急時なので連絡を取り合い、家族の介護について話し合うのもいい機会。

③の場合、職場に事情を説明し、介護休暇の有無や在宅勤務にシフトできないか相談してみよう。

もし、制度がなければ会社に休暇制度を働きかけるのも悪くない。知人の会社は中小企業だが、新型コロナで介護サービスが利用できなくなり特別休暇が創設された。

④協力者がいたとしても産休や病気で在宅介護でみるわけにいかないでしょうから、介護サービスを利用しよう。知人の介護士は「コロナで多少赤字になってもやっぱり介護の仕事が好きなんです」と語っていたが、こういう前向きな声が少なくない。

国や政府がさっさと介護経営者や介護職員全員に現金支給し、要介護が低く協力者がいる利用者家族の「共助」こそ今必要なことだ。