え、国家公務員法改正法案を廃案にする?

官邸サイトより:編集部

転んでもただでは起きない、というのが、今の自民党なのかも知れない。

今日の段階では、黒川問題が永田町の最大関心事だろうが、東京高検検事長の辞職が確定してしまうと、辞めてしまった人をいつまでも追及することが出来なくなる。

勿論、総理や法務大臣には任命責任があるから、これからしばらくは国会であれこれ追及が続くだろうが、秋の臨時国会が開会される頃には大方の人の脳裏から消えていってしまっているのかも知れない。

これから大きな問題になりそうなのが、国家公務員法の改正問題の方だろう。
安倍総理が、国家公務員法改正法案を今国会で廃案にすることも視野に入れている、と述べていたが、これが安倍総理の起死回生の一手だとすれば、安倍総理の周辺にはやはり大変な知恵者がいる、ということになるのかも知れない。

公務員の定年の延長問題はいずれ決着を付けなければならない国政の重要問題ではあるが、公務員制度全般の改革問題になってしまうと、折角積み上げてきたこれまでの議論を一からやり直す、という話にもなりかねない。

早期の結論を求めていた人たちからすると顔が青ざめるような重大な問題なのかも知れない。
まだ公務員労組の方々の動きがよく分からないが、野党の関係議員の皆さんは、内心相当慌てておられるのではないだろうか。
国対レベルでは終わっていた話をもう一度やり直す、ということになれば、一応の結論に納得して関係者の説得に回っていた人たちの立場が危うくなりかねない。

検察庁法改正法案と国家公務員法改正法案を一括法案として束ねてしまったことに対しての批判はそれこそあちらこちらから出ていたが、国家公務員法改正法案を撤回せよ、などという要求は、これまでどこからも出ていなかったように思う。

野党の執行部の皆さんは、如何にも不意を突かれてしまったような印象である。

最初この話を聞いたときは、自民党参議院幹事長の世耕さんが何か変なことを言っているな、という印象だったが、どうやらこの問題は相当大きくなりそうだ。

それだけは止めてくれー。

どこからかそんな悲鳴が聞こえてきそうである。

私のブログの読者の中にはこういった問題について随分詳しそうな方がおられるので、いずれ国家公務員の定年延長問題や年金問題について詳しく解説して頂けると思うが、とりあえず問題提起だけしておく。

よろしく。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2020年5月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。