こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
昨日、安倍総理より正式に全国の「緊急事態宣言解除」が宣言されました。
まずはここまで来たことを私自身も大変うれしく思うとともに、ご協力いただいた皆さまに心より感謝を申し上げたいと思います。
ここからも気は緩めることなく、しかし、経済活動や教育現場を回していかなければなりません。
また、明らかにここから顕在化するであろう不景気は深刻な問題であり、引き続き適切な財政出動・経済政策を政府与党に求めてまいります。
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緊急事態の解除は喜ばしい一方で、東京都は独自の「デスロードマップ」により、まだまだ出口の見えない闘いが続きます。
参考過去記事:
あと2ヶ月間、東京都外へ移動できない?!小池知事が発表した驚きの「ロードマップ」の正体
地方自治を推進する立場から、国の緊急事態宣言解除後も都が独自指針を出すこと自体は否定いたしません。
しかし、その内容が間違っているなら厳しく指摘・批判し、撤回されるよう突き上げていかなければなりません。
そこで問題になるのが、この小池知事のロードマップ・さらなる自粛要請には「法的根拠」があるのか?という点です。
各都道府県が発令していた自粛要請は、インフル特措法に基づく「緊急事態宣言下」で認められたものです。なので、宣言が解除されればその法的効力は失われます。
と こ ろ が 。
東京都だけはなんと、4月上旬に都独自の対策条例を制定していたのですね。これは私もすっかり失念していた盲点でした。
この都条例は、緊急事態宣言の解除後も国・都対策本部が設置されている限り有効であり、都民や都内事業者に感染症拡大防止に協力する「責務」が課されます。
強制力や罰則はない「努力義務」ではあるものの、こうした条例がある限り、特に世間的評判を気にする大企業などは都の「要請」に従わざる得ないという圧力が働くことになります。
小池知事が今の状況まで「先読み」していたのかはわかりませんが、当時としては不必要・過剰とも思えた都独自条例の制定が、この局面で効いてくるとは思ってもいなかったというのが正直なところです…。
【条例全文はこちら】
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しかし改めてこの条文を読み込むと、本条例の効力が発揮される「ロードマップ」を策定したプロセスには、極めて大きな疑問が生じています。
条例では、都の感染症対策を諮問する「審議会」を設置し、都(知事)は必要に応じて審議会の意見を聴取するとの定めがあります(第五条)。
ところが都のHPには、4月15日の第一回を最後にこの審議会が開催されている形跡はありません。第一回については張り切って動画まで公開されているのに、です。
条例の第8条には、
「都民の自由と権利が尊重されるべきことに鑑み…その制限は…必要最小限のものでなければならない。」
と明確に定められています。東京都民という巨大ステークホルダーに大きな影響を与える感染症対策・ロードマップだからこそ、審議会の意見を聞いて慎重に策定しなければならないのは当然です。
条例の「必要に応じて」とはまさに、こうした局面を想定してのことだと言えるでしょう。にもかかわらず、審議会が行われた形跡がない。
東京都の担当部署に電話をして確認したところ、慌てた様子で折り返しの連絡となり、しばらく経ってからきた返答は
「第一回のような会合は行われていないが、その後複数回、書面による会議を開催している」
とのことでした。オンラインですらなく、「書面」による会議…!
感染症対策で会合が開きづらいという事情を勘案するとしても、緊急事態宣言真っ只中の4月15日には会合を開き、動画まで公開しています。
そのときより状況は好転している中、都民に多大なる影響を与えるロードマップ策定に際して審議員に参集をかけず、「書面」で済ませた。
ちょっと信じがたい対応だと思いますし、現時点ではなんら情報公開がされていないので、本当に書面による審議会が(外形的にだけでも)開催されたのか外部から検証不可能な状態になっています。
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以上のように成立プロセスに疑義がありつつも、小池百合子知事が策定した非合理かつ不透明なロードマップ(感染症対策)に都民は従う「努力義務」が生じています。
※ただ繰り返しになりますが、破っても罰則など強制力はありません
であればなおさら、その成立プロセスや理由については、制定した都知事に説明責任が生じるはずです。
正直、私はこうした一連の小池知事の意思決定が、都知事選挙を睨んでのものだという疑念を拭い去ることはできません(経験談)。
本件については情報公開請求をすることも含め、引き続きしっかりと検証していきたいと思います。
(本件は動画でも解説)
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2020年5月25日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。