こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
平時と異なり財政出動は容認される局面だとしても、やはりこうした「中抜き」問題、古い利権体質の政治については声を上げ続けていかなければいけないと思うのです。
給付金業務、97%を電通に再委託 不透明な769億円:朝日新聞デジタル
持続化給付金について多額の事務事業費が計上され、しかも実態のない団体が20億円もの「中抜き」をしている構造が指摘をされています。
加えて再委託先は言わずとしれた大手企業であり、この費用にかかる根拠も強く疑問視されるところです。
こうした持続化給付金の支給はそもそも、マイナンバー制度をしっかりと整備をして直接給付ができる仕組みにしておけば発生しなかった問題ですし、今後に備えて来年と言わず今国会で立法して整備をしておくべきでしょう。
そしていわゆる「旅行クーポン」問題も根深いものがあります。
そもそも様々な業種が苦しい中で特定産業だけに決め打ちで支出をする構造も問題な上に、これまた政策実行にかかる事務費が「3000億円」!!
こんな多額の財源が「事務費」として消えていくくらいなら、減税をするなり地方交付金として自治体にそのまま配って使いみちをそれぞれに決めてもらった方が、金額は小さくなってもよっぽど効率的・合理的だと思います。
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ことほど左様に、政府が行う「再配分」というのは非効率であり、その過程で様々な利権団体が群がって集められた税金が消化されていきます。
どうも政府に過剰な期待をしてひたすら「大きな政府」を目指したがる人は多いのですが、少なくとも現状はこんな有様ですし、それは誰が権力を握っても大きくは変わらないと私は思っています。
前述のように、そもそも集めないこと(減税)にしたり、マイナンバーという技術を使って効率化することができるにもかかわらず、政治は敢えてそれに手を付けてこようとしませんでした。
それはまさに「抜く」ことが目的になっている、そうすることで自分たちの利権団体に利益を分配し、自らの権力構造を盤石にすることを目指しているからではないでしょうか。
特にマイナンバーについては、一部野党から猛烈な反発があったことは事実ですが、それにここまで迎合してきた与党政府も同罪であり共犯関係です。
「合理化しなければ、まだまだ中抜きできる。利権構造を維持できる」
とほくそ笑んだ与党議員がいたことはほぼ確実でしょう。
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大きく膨れ上がった政府予算において、ここからの闘いはいかにこうした利己的なメカニズムを打破しながら、適切な財政出動を行い経済・景気を軌道に乗せていくかです。
その一つの解が「減税」であり、また次善の策は中抜き利権団体を介さずに国民・地方自治体に直接給付することです。
二次補正予算は早急に執行していただかなければなりませんが、同時に指摘をするべきは指摘をして軌道修正し、次につながる建設的な議論を国会でしていければと考えています。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2020年5月31日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。