海外送金のあれこれ

岡本 裕明

私も色々な仕事をやってきましたが、貿易の業務までやるとは自分の仕事人生のプランからは想定外でありました。やりながらいろいろ学ばさせてもらっているのですが、貿易会社ではないので一般的な貿易決済をやるわけではなく、支払いは通常の資金の移動が伴うものであります。また、為替ヘッジをかけるほどの金額でもないため、ある意味、為替の変動に揺られており、常にそのリスクを抱えています。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

併せて気になるのが海外送金にかかる手数料です。これがバカにならないため、コスト削減の知恵を絞っているところです。私の場合、カナダと日本の送金関係が主です。

さて、カナダに輸入した代金を日本に送金する際、どれぐらい費用が掛かるのかといえば、カナダの銀行が45ドル(約3500円)、日本の銀行がリフティングチャージといって2500円とられます。ただ、これは私が日本の銀行にカナダドル建て口座を開設しているからでカナダからカナダドルのまま送金している点に一つ仕掛けがあります。

取引金額が年数千万円程度ですから送金は年に数回しかしません。つまり、請求書は月に数枚上がるのですが、それを数カ月分まとめて送金します。次に為替手数料です。日本の口座に入金されたカナダドルは為替相場を見ながら最適と思われる時に円転します。カナダドル口座では一定の金利がつきますので金利分も多少お得感が出ます。カナダドルの円転は通常TTMに対して2円の手数料がかかります。つまり、今日の相場が80円なら78円が「定価」です。しかし、多分、多くの定常的な顧客は優遇レートなり割引レートを貰っているはずで私ももらっています。それがあると銀行取引にメリットがあります。

一方、もっともふつうの送金方法はカナダの銀行で円転して日本に送金する方法です。私の取引銀行の場合、別の第三者の銀行が介入するルートになります。これが海外送金で悪名高い見えない手数料と称されるもので第三者分が2500~4000円ぐらい勝手に差し引かれるのです。この仕組みの背景がSWIFTという国際銀行間の資金のやり取りの基盤であります。

世界の銀行を束ねる国際銀行の設立を経済学者ケインズが奨励したものの実現しませんでした。そのために生まれたのがSWIFTです。それぞれの国にコルレス銀行という海外とのやり取りをする窓口銀行を介する流れです。そしてこのSWIFTのおかげで莫大な利益を収めているのがロスチャイルド家であります。転んでも起き上がるユダヤの仕組みがそこにしっかり埋め込まれています。

また、アメリカ中心のシステムにする技がそこに存在しています。香港やイランの問題が出た際、アメリカがSWIFTから外すと述べたのはこのルートがないと通常の銀行間送金ができなくなり、経済の血液が止まるのです。アメリカとユダヤが結託できる仕組みともいえましょう。フェイスブックのリブラが話題になった時、ユダヤが受け入れないかも、と申し上げたのはこのことであります。

さて、話を元に戻すと、私が更に考えた送金のコストセービングは輸出代金と輸入代金の相殺であります。通常なら輸出の入金と輸入の出金が起きるわけですが、それを相殺して送金するのは差額分だけ、という方法を考え出し、現在実験をしています。これにより実際の資金移動額は減るため、手数料も減ることになります。

経営者はいかにベストな方法でビジネスをするか考えるのですが、コスト意識や相場を通じた市場とのコミュニケーション能力が問われます。それを知っているか、工夫をしているかで圧倒的な差が生まれます。

私は過去、為替手数料を究極まで低減できるFXを通じた出入金の手法も試みたことがあります。確かに技術的には極めて安くなりますが、為替の取り方を間違えたらいくら手数料を節約してもほとんど意味がないこと、FXという相場そのものに興味が向いてしまい、本末転倒になったことがあります。そこでこの方法は実用性がないとしてやめました。

Transferwiseという送金方法も研究しました。問題は業務としては金額の問題があり、対応できないということです。いわゆる相対で板を集めてきてはちあわせをさせるという手法ですので個人が小口で送るには向いていますが、ビジネス用途にはまだ厳しいかと思います。

リップルという取引方法もあります。これは仮想通貨をかました送金方法でとにかく早い送金が売りなのですが、リップル自体の国際送金の主流はアメリカとメキシコで国際間の広がりがまだ限定的だという弱点があります。

個人的には仮想通貨ベースの送金が将来の国際通貨決済の基盤になるとみていますが、世代遅れのSWIFTを今でも使わざるを得ないのはユダヤを通じた政治力がその影にあるのかもしれません。なんとも奥深い話です。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年6月10日の記事より転載させていただきました。