キッチン南海の閉店理由はコロナではなく、東京の都市化

内藤 忍

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神保町にある洋食の名店「キッチン南海」が今月26日で閉店することになりました。すでにネット上では大きな話題となり、閉店を惜しむファンが連日大行列を作っているようです。

マネックス証券の創業の地は神保町の近くにある神田錦町でした。仕事の合間に神保町のすずらん通りに行き、様々な名店を巡るのはとても楽しいホッとする時間でした。

キッチン南海はランチタイムはいつも大行列で、滅多に入れませんでしたが、お店で注文するのはいつもカツカレー。黒いコクのある独特な味わいのカレーがご飯とカツに絶妙にマッチする、このお店にしかない独自の味わいでした。

キッチン南海のカツカレー(Wikipedia)

神保町には、キッチン南海以外にも、このような昔からの名店がたくさんありますが、少しずつ無くなっていくのがとても残念です。

数年前にには天丼のいもやも閉店してしまいましたし、同じすずらん通りの餃子で有名なスヰートポーヅも、営業をやめてしまったと聞きます。

キッチン南海の閉店の理由は、コロナウィルスではありません。入っているビルの老朽化に伴い営業を終了させることにしたようです。東京の都心部では、古いビルを取り壊して再開発が次々と進められています。キッチン南海の入っているビルも取り壊されて、近代的なビルに生まれ変わるはずです。

飲食店の閉店で本当に惜しまれるのは、このような東京の都市化や店主の高齢化で消えていくお店です。

キッチン南海の閉店は、とても残念ですが、幸いなことに現在の料理長が独立して、同じ神保町に店を構えるそうです。お店の雰囲気は少し変わってしまいますが、伝統の味はきっと受け継がれると思います。落ち着いたら久しぶりに、あの黒いカツカレーを食べてみたいと思いました(ただしご飯は小盛でw)。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年6月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。