仕事がうまくいかない人が、やるべきことは「価格競争」ではなく「差別化」

コロナショックによって、マーケットのパイが縮小し、生き残れるプレーヤーの数が減っているマーケットがあちこちに増えています。

外食する人が減れば、飲食店の競争は激化して、撤退するお店が増えてきます。宿泊ビジネスの市場規模が小さくなれば、ホテルや旅館の中には廃業したり倒産せざるを得ない施設が出てきます。

そんな縮小する市場の中で生き残るには、2つの方法しかありません。

価格競争か差別化の二択です。

売り上げが伸び悩むと、価格を下げて対応しようとする企業があります。巨大なマーケットで大きなシェアを握る大手企業ならともかく、個人事業主や中小企業は取るべき戦略ではありません。

マーケットシェアが大きく取れなければ、価格を下げても、利益が減少するだけに終わってしまうからです。

それよりも、差別化を進めることにより、他の人たちには提供できない「希少性」を提供することの方が、圧倒的に重要です。

自分しか提供できない価値があれば、ライバル企業と比較されることもありませんから、価格競争に巻き込まれることもありません。

では、そのような価値はどうすれば生み出すことができるのでしょうか?

競争の激しいマーケットで、他の人にない価値を生み出すことは簡単ではありません。

そこで考えるべきなのは「ニッチ戦略」です。ニッチというのは隙間(すきま)のこと。広いマーケットで1番になろうとせず、特定の狭いマーケットで1番を狙う戦略です。

例えば、先日出かけた青山にある和食のお店は、囲炉裏での炭火焼にフォーカスすることで、他の和食店との圧倒的な差別化に成功していました。

炭火で絶妙の焼き加減で出されるジビエや天然の鮎を求めて、お客さんが集まってきます。和食の名店は日本中にたくさんありますが、真っ当に勝負をしても勝ち目はありません。

ニッチな分野で勝負することで、予約が取れないお店になりました。狭い分野での差別化で、一流店と互角の戦いができるようになったのです。

とにかく、小さくてもいいから、どこかの分野で抜きん出ること。

コロナショックで仕事が無くなったり、忙しいのに単価が低くて全然儲からないという状態に陥ってしまうのは、オンリーワンの価値提供ができていないからです。コロナのせいにしてはいけません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年6月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。