Jリーグ社外理事としてコロナ危機に取り組んでいる、3つのトピック

藤沢 烈

Photo by r_hikaru

Jリーグ理事に3月に就任してから3ヶ月が経ちました。社外理事ですから、客観的にリーグ執行部の意思決定の確認を行うことが役割となります。ただし、コロナによって迅速な意思決定が進む中、いくつかの役割を果たしたので、その内容に触れておきたいと思います。

1.政策提言

コロナ危機によりJリーグは様々な課題に対応しましたが、そのうちの大きな一つが「政策提言」でした。どのような成果が上がったかは、下記の記事に詳しいので御覧ください。

国税庁が「税優遇」新解釈示したJリーグ専務理事のスゴ腕。歴史的回答の全貌を解説する

従来、企業によるクラブへのスポンサー支出は、Jリーグと野球で大きく違いがありました。プロ野球の場合、かりに球団が赤字になったとしても、そこでの赤字補てんは損金参入されます。しかしJリーグの場合、寄付金扱いされることで、損金算入を一部否認される恐れがあったのです。

今回のJリーグからの働きかけにより、サッカーだけでなくすべてのスポーツが、取り急ぎプロ野球と同じ扱いであることが国税庁により示されました。Jリーグのスポンサーは元より、全てのプロスポーツのスポンサーにとって、大きな一歩となりました。政策提言は木村専務理事がリードしましたが、途中の議論に少し関わりました。社会が大きく変化する中、スポーツ界が健全に維持されるように制度が見直されつつあることは、大変意義があったように思います。

2.関係者との対話

5月に紹介したように、Jリーグ再開までの間、クラブ関係者やサポーターの皆さんと社外理事が対話する「Jリーグ非公式勝手未来ミーティング」がZOOMウェブナー形式でこれまで8回開催されました。

私は「社会連携」と「地域」の二つのテーマで出演しました。毎回100人以上が視聴下さっていて、また選手や専門家も議論に加わって、コロナ後のJリーグのあり方について多面的に議論ができています。
参加された方の意見をとりまとめ、来月の理事会でJリーグに提出することになっています。私はとりまとめ担当でして、この週末も忙しい中で社外理事が集い、喧々諤々議論を行いました。7月には公開もできると思います。社外理事としてJリーグの変化に意見していく上で、関係者の声をダイレクトに聞けたのは大きな経験でした。
今週末の27日からはJ2・J3が再開されます。その直前最後の会として、25日(木)には、「デジタルと地方」ということで、スーパーシティの専門家である日本総研の東博暢さんを招いて開催されます。誰でもラジオ感覚で聞けますので、ぜひ御覧下さい。

3.社会連携

私が社外理事となったのは、社会連携分野での貢献が期待されてのものでした。この間、各クラブの社会連携活動を表彰する「シャレン!アウォーズ」を審査したり、コロナ下での社会連携の方針議論に加わっています。

2020 Jリーグシャレン!アウォーズ 各賞決定のお知らせ

意外だったのは、Jリーグや理事による社会連携への期待が大きいことです。上記の勝手未来ミーティングでも、参加者が期待するテーマの第1位は地域でした(ちなみに2位は無観客試合、3位は世界)。確かに、スポンサー、選手、スタジアム、地域経済・・Jリーグを取り巻くテーマは、ことごとく社会・地域連携が関わります。また、世界を見渡しても、地域連携・社会連携がここまで進んでいるクラブは他に例がありません。Jリーグの社会連携が魅力を増すことは、日本のサッカーやスポーツの可能性を広げることになるし、コロナ危機によってその重要性はますます増したと感じています。

以上、この3ヶ月の動きを紹介しました。Jリーグは、すでに公共をになう存在になっています。社会の不安が高まっている中、Jリーグがより多くの方の心を支えられるよう、引き続き役割を果たせればと思います。


編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2020年6月22日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。