こんにちは、やながせ裕文です。
都知事選も折り返しを過ぎました。私たち日本維新の会が推薦する前熊本県副知事の小野たいすけさん、東京では全く無名のところからのスタートでしたが、じわじわと浸透しています。
熊本時代に「くまモン」のブームを大成功させ、熊本地震の危機対応をはじめとする実績と実務能力、そしてキャッチコピーだけの政治とは一線を画し、住民や行政の職員と対話によって難しい課題を解決するという誠実な姿勢を高く評価いただいているからだと思います。
しかし小池知事の圧倒的な存在を揺さぶるまでに至っていません。都内にお住まいの維新支持層の皆さままでが吸い寄せられていることがわかっています。これは小池さんと小野さんの知名度の差というだけでないようです。
ある新聞記者さんの話では、「前の衆院選で、小池さんと松井代表が連携したこともあって、都民にとって小池さんも維新も同じ“第3極”のように思われている」ということのようです。たしかに打倒、自民党政権で一時、私たちは小池さんがかつて率いていた希望の党と連携したことがありました。
都議会にいた当時にも申し上げましたが、私は是々非々の立場で、小池さんが真に改革をめざすのであれば協力するという思いでした。議員定数削減、地方分権の推進といった方向性はたしかに一致していました。また、小池さんは就任早々に知事給与を半分に減らしましたし、「身を切る改革」をやっているように一見見えます。
ところが、実態はどうなのでしょうか。
選挙の熱狂的なシーンが醒めてしまうと、行政運営の実態はなかなか知られていないものです。その一つが200億円の「復活予算」の見せかけの廃止です。復活予算は一度削られた予算を、与党会派の議員たちの働きかけで復活させるもので、東京都だけに残った悪しき慣行でした。
小池知事は就任早々にこれを廃止して、メディアを含めて拍手喝采というムードでしたが、なんのことはない。それまで都議会の最大会派で聞いていた業界団体の要望を、今度は知事が査定して要望を受け付けることに変わっただけです。むしろ、予算執行権を持つ都知事がにらみをきかせるとなれば、「これからは私や都民ファーストの会を応援してください」と無言の圧力を出すことにつながります。
今回、私たちは「キャッチフレーズだけの政治」を批判していますが、小池都政は本当に「ワイズスペンディング(賢い支出)」だったのでしょうか。
東京都はコロナ対応で長年積み立てた1兆円近い貯金(財政調整基金)もほとんど使ってしまいました。もちろん、今回はかなりの取り崩しになることはやむを得ないことは私たちも同意します。
しかし、オリンピック・パラリンピックを延期して来年開催するのであれば、数千億円とも言われる追加負担が発生することはわかっていることです。また、このコロナ禍の影響で、
来年度の税収ダウンは火を見るよりも明らかです。
都税収入の3割以上は法人二税(法人都民税、法人事業税)。リーマンショックのときはわずか1年で1兆円の減収(!)があったことを考えると、小池さんは本当に後先を考えた支出だったのか、疑わしいところです。
私たち維新は大阪府がバブル崩壊の痛手で「破産会社」ともいわれるような財政危機に陥った時、知事の退職金をゼロにし、府議会議員の報酬を30%カット。全国の都道府県議会で異例の府議会議員の定数2割削減も断行するなどして、立て直し、現役世代に必要な財源を生み出すなど、メリハリをつけた改革をしてきました。
果たして小池都政や都民ファーストの会にそこまでの覚悟があるのか。東京で維新を応援いただいている皆さま、本物の改革者は誰なのか、ご賢察を信じています。