まず、京都大学を卒業し、日本生命に入社した典型的な日本のサラリーマンとは思えない柔軟な発想に驚きます。「世界の常識は日本の非常識」ですから、恐らく日本生命時代の社内では、かなりの変わり者だったのではないかと想像します。
一貫している考え方は、ダイバーシティ(多様性)を重視し、フラットに物事を捉える視点です。年齢、性別、国籍、家柄などで、人間を判断することは、むしろデメリットの方が大きい。
例えば、スペインが大航海時代の後に没落したのは、純粋なカトリック以外を排除する「血の純潔規定」という法制度が多様性を否定したことにあると指摘します。
あるいは、地域おこしに必要なのは「若者、ばか者、よそ者」で、むしろ多様な人材こそがイノベーションを加速するという考え方です。
だから、出口さんご自身も、自分の自然年齢を考えないで、好きなことを好きな時に始められるのです。
還暦に起業したというのは、特別なこととは思っていないのです。
また、好奇心と行動力も大切と説きます。だから、「迷ったらやる。迷ったら買う。迷ったら行く。」がモットー。なぜなら、何事もやってみないとわからないからです。好奇心を持って、興味を持ったらやってみる。そこから、想定もしなかった人生が待っているのです。
そして、パートナーや友人の存在が人生では1番大切と説きます。人に恵まれるためには、自分と言うコンテンツを磨くことが大切。面白い人、楽しい人には人が集まってくるからです。
一方で、出口さんは、とても健康で、頭脳明晰な方なので、凡人が真似をしてはいけないことも書いてあります。それは、健康とお金です。
出口さんは、医者嫌いで、健康診断を最低限の検査しか受けず、運動は全くしていないそうです。お腹がすいたら、ご飯を食べて、眠くなったら寝ると言う生活を70年続けて、いまだに現役で活躍できる。これは、例外的だと考えた方が良いでしょう。健康に産んで育ててくれた親から与えられたギフトです。
また、お金についても、私と考え方が違います。意外なことに、出口さんは相続税を払うほどの貯金さえ持っていないといいます。それでもお金の不安がない。それは、働けば良いからという理由です。毎日働いて、頭と体を使えば介護状態にならずに済む。もしなったとしても、介護保険の範囲でやりくりすれば良い…と持論を展開しますが、私は人生に必要なお金は、働かなくても得られる「仕組み作り」が大切だと思っています。
とは言え、還暦以降の人に限らず、全ての人が人生をより楽しく豊かにするためのノウハウがギッシリ詰まった日本人の必読書だと思います。わずか1000円足らずで、これだけの情報が得られるのは、本当にありがたいことです。機会損失を考えれば、お金を惜しまないで今すぐ買って読んだ方が良いと断言します。
私も出口さんを目指して、これからの人生をさらに楽しんじゃおうと思います(笑)。
<参考図書>
「還暦からの底力」 出口治明
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年7月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。