地方議員として「アベノマスク」の回収・再配布を提言する

芦田 祐介

私は、京都府久御山町で最年少町議として活動している。

天下の愚策といわれる政府配布の布マスク。俗に「アベノマスク」と揶揄されるマスクである。世論調査ではアベノマスクについて7〜8割が評価しないとしている。アベノマスクのおかげでマスク不足が解消されたという人もいるが、アベノマスクの配布とマスク不足の解消に因果関係を認めるのは困難である。

首相官邸サイトより

6月29日付け「京都新聞」では、久御山町近隣の八幡市・京田辺市が「アベノマスク」回収ボックスを設置していることが紹介された。他の自治体や民間でもこうした動きがあるようだ。

5月中旬に町議がコロナ関連の要望を災害対策会議の議長(町議議会の議長が兼務)に提出した際、私は「役場などの公共施設にアベノマスク回収ボックスを設置して、必要としない人から真に必要な人に分配するべきである」という要望も入れた。アベノマスク回収ボックスはその後に広く設置されたが、この時は、それほど浸透していなかったように思う。

各会派・無会派議員から提出された要望を取りまとめた災害対策会議の要望書「案」の段階では、このマスク回収ボックスの設置は記載されていた。

しかしながら、最終段階(5月18日夕方頃)において、ある議員から「政府が配布するマスクを自治体が回収するはおかしい」という声があり、結局、議長判断で削除することになったとのこと。「ある議員」が誰なのか私は存じ上げないが、議長からこのように報告を受けた。

自治体がアベノマスクの寄附を受け付け、真に必要とする人に分配することの何がおかしいのかまったく理解に苦しむ。

ちなみに厚生労働省のウェブサイトにあるアベノマスクQ&Aには「既に十分な枚数のマスクを持っているが、どうすれば良いでしょうか。」という質問に対して「お届けした布製マスクがご自身にとってご不要な場合は(中略)例えば身近で必要とされている方に譲るなどの選択肢もご検討下さい」という記載がある。

アベノマスクを必要としない人から必要とする人に譲るというのは政府も推奨していることである。仮に政府が推奨していなかったとしても、政府と自治体は対等である以上は、政府の失策・愚策を自治体が是正したり、軌道修正することは必要なことである。

GoToトラベルキャンペーンに反発したむつ市が観光施設を閉鎖することを決めたが、私は、むつ市長の決断を支持する。

自治体がアベノマスクを不要とする人から回収し、再分配することは住民の利益になることはあっても不利益になることはない。

「政府が配布するマスクを自治体が回収するのはおかしい」というのは安倍政権に対する忖度であり、住民の利益をないがしろにする横やりだったと強く憤りを感じている。

末筆に久御山町議会の6月定例会の本会議と常任委員会においてアベノマスクを使用している議員は一人もいなかったことを申し上げておく。

芦田 祐介 久御山町議会議員( 地域政党京都久御山党)
1983年生まれ、同町議会最年少議員