メールで自分のことを「小職」と書く人は、なぜ面倒くさいのか?

黒坂 岳央

黒坂岳央(くろさか たけを)です。
■Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

通信会社のマーケター・井上大輔氏のツイートがバズっている。

誰もが内心、モヤモヤしていた気持ちをスッキリ言語化してくれた素晴らしいツイートだ。わかる。これはバズるわ。オレも昔は会社勤めをしていて、まさしく自分のことを「小職」と呼ぶ人たちに、面倒さを感じていた経験がある。

そもそも、何が面倒くさいのか?なぜ、あえて「小職」と呼ぶのだろうか?その辺を論考してみたい。

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 そもそも「小職」とは?

写真AC:編集部

そもそも、小職とはどんな意味なのか?

「小職」というワードは、一般常識的には誰でも使っていいわけではない。企業において「取締役」など役職を持っている人が、目下の相手に対して「自分にはかしこまらなくていいから」と謙遜する意味合いで使われるのが普通だ。だから新卒社員が取引先の部長に「小職」を使うのは誤用とされる。

なんでも、「小職」はとりわけIBMで使用されていたワードという説がある。中央省庁とのビジネスのやり取りで「小職」をIBM社内でこぞって使われていたらしい。ググってもらうと、そのあたりの話がポロポロ出てくる。

 「小職」を使うのは権威主義的でプライドが高い人

そんな「小職」を使う人は、「たいてい権威主義的でプライドが高い」という印象をオレは持っている。その根拠を語っていきたい。

上述の通り、「小職」とは役職持ちが使うワードであることから、自分のことを「私」や「オレ」で通るはずなのに、キャリアアップの過程で自分の意志で使うことを選んだわけだ。間違っても、上司から「お前も役職持ちになったのだから、そろそろ小職と言ってはいかがだろうか?」と言われ、外圧の影響で使うようになった者はいないだろう。「オレも役職持ちになった。部下には小職って言ったろw」と相手との力関係や役職を強く意識した結果、使用することを始めたと考える。

自分は役職持ちであることを認識しつつ、相手は目下の人物であることを理解してあえて「小職」をチョイスする。そのようなワーディングチョイスをする人物は、「自分を控えめに見せつつ、その実、相手との役職の関係性を強く意識する権威主義的な姿勢でプライドが高い」という傾向や可能性が見えてくる。

…言っておくが、小職ユーザーのすべてが面倒な人物なんて主語のでかい事は言わない。あくまで傾向と可能性の話な。

 プライドが高く、権威主義的な人物は面倒くさい

そしてここから「なぜ小職ユーザーは面倒くさいのか?」を語っていきたい。

オレの考える、「小職を使うのはプライドが高く、権威主義的な人物の傾向がある」という仮設が正しいとすれば、そうした人に面倒くささを感じるのは普通だろう。

実際、オレが体験した話をしたい。外資系企業で働いている時、エラい人から次のようなメールを貰った事がある。

「平素の◯◯改革への取り組みの情熱は、常々評価している。だが、貴兄のメールの送信の仕方はいかがなものか?メールを出す時はFromとTo、CCの役職を相互の部署のレイヤー間で統一を図るのが望ましい。貴兄の今後の後学のためにも、小職から老婆心ながらお伝えしておきたい」

…このオッサンが何を言いたいか、一読して理解できただろうか?要するに「FromとToは部長同士にしてメールを出せ。Fromが主任クラスのお前で、Toが部長のオレというのはおかしいだろ?」と言っているわけだ。メールを受け取ったオレに落ち度はあった。反省している。

けど、問題は言い方よ。こんなに回りくどくいうことに、貴重な企業のビジネスリソースを割くメリットがあるのだろうか?労働生産性低くならないか?

 面倒くさい人の危険ワード

同氏のツイートは他にも、面倒くさい危険ワードが挙げられていた。

すべてではないけど、よく分かる。会社員時代の思い出を振り返ると、思い当たる節が結構ある。「貴兄」なんて「お説教メール」以外で使われたことないしなw

ってことで「小職」を使う明らかなビジネスメリットがわからないので、クレーム来そうだけどこんな記事を書いた。「いやいやw お前が知らんだけで小職を使うべき理由ってメッチャあるよ」って人は逆に教えて欲しい。積極的に学びを得たい。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。