京都府久御山町議会では委員会視察終了後に視察報告書を提出する義務がある。
私は昨年8月に広報広聴委員会の管外視察(一泊二日)に、同11月に総務事業常任委員会の管外視察(二泊三日)に参加した。視察終了後に遅滞なく視察報告書を作成し、議会事務局に提出したが、現時点でこの視察報告書はとくに日の目を見ていない。
議会事務局に聞いてみたところ、提出された視察報告書はファイリングして議会図書室に保管しているとのこと。住民が議会事務局まで出向いて視察報告書の閲覧を請求すれば、閲覧することができる仕組みだという。
久御山町のような小規模自治体でわざわざ議会事務局まで出向いて視察報告書を閲覧しようという「奇特な住民」はいるのであろうか。久御山町にはオンブズマンも存在しない。おそらく閲覧請求する住民は皆無であろう。
私は議員であり議会図書室に自由に出入りできるので、他の議員がどのような視察報告書を作成しているのか興味を持って閲覧してみた。
大多数の議員は真面目に視察報告書を書いている。過去の報告書を見るとなかなかと勉強になったりもする。
しかし、一部に「なんだこれは!?」というレベルの視察報告書も見つけた。A4用紙1枚で中学生の社会見学の感想文レベルといっても過言ではないものまで存在した。住民の監視がないのを良いことに、さすがにこれはないだろう。
視察報告書をオンライン公開している議会も存在しているが、多くは委員長が作成した視察報告書のみの公開に留まっている。しかも、こうした視察報告書は「委員長」の名義となっているが、実際は議会事務局が作成していることが多いとも聞く。
「号泣県議」こと野々村竜太郎元兵庫県議を皮切りに全国的に政務活動費の不正支出が相次いだことによって政務活動費の収支報告書と領収書等をオンライン公開している議会が増えている。
視察報告書もオンライン公開するべきではないだろうか。公開するのは委員長の視察報告書だけではダメだ。参加した全議員分の視察報告書を誰もが簡単に閲覧できるようにすれば、誰かに見られているという圧力がはたらき「低レベル」な視察報告書を作成する議員はなくなるであろう。このような提言をしなければならないということ自体が情けない話でもある。
本記事を読まれている方には、お住まいの自治体の議会事務局に視察報告書を閲覧できるか問い合わせてみてはいかがであろうか。議会事務局まで出向けば各議員の視察報告書が閲覧することができるのであれば、実際に議会事務局まで出向いて閲覧することによって隠された議員のレベルがわかり、今後の投票の参考になるかもしれない。
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芦田 祐介 京都府久御山町議会議員(地域政党京都久御山党)
1983年生まれ、同町議会最年少議員