知っトク解説:今回は”緊急地震速報”

7月30日9時30分過ぎ、気象庁は、関東甲信越や東海などの広い範囲に地震による強い揺れが予想されるという緊急地震速報を発表しましたが、強い揺れは感じられませんでした。その震源地は伊豆諸島の鳥島で地震は実際に発生していました。しかし、海域は陸地に比べて地震計が少なく、震源地を房総半島南方沖と推定したことによる誤報になったと気象庁は発表しました。

緊急地震速報は、最大震度5弱以上の揺れが予想されるときに発表され、その対象地域は震度4以上の揺れが予想される地域です。

気象庁が緊急地震速報を発表するとシステムを通して、防災行政無線やテレビ、ラジオ、携帯電話などに伝えられ、我々に知らされます。

地震には速度が違う二つの波があります。
小さな揺れが早く伝わるP波(Primary Wave=最初の波)と、そのあとから伝わってくる大きな揺れのS波(Secondary Wave=第二の波)の二つです。

この二つのうち、地震による被害をもたらすのは、ほとんどの場合、後から伝わってくるS波です。P波の方が早く伝わってくるので、S波が各地に伝わるまでの間には時間差があり、その間に警戒を呼びかけるのが、緊急地震速報です。また、地震波は毎秒数kmで伝わっていきますが、警報の電気信号は毎秒約30万kmで伝わるので、地震が伝わってくるより先に我々のもとに、早く情報が到達します。

それでも、緊急地震速報が発表されてから、実際に強い揺れが来るまでの時間は長くても10数秒から数十秒しかありません。わずか10数秒だとしても、身を守ったり、被害を減らす行動をとることができます。例えば室内にいる場合なら、扉を開けたり、火を消したり、落下物から頭を守ったりできます。屋外ならば、ブロック部屋、自動販売機から離れることなどができます。

日本は世界で最も地震の研究が進んでいますが、地震のメカニズムには未解明のものも多く、分析したり、揺れを予測したりするシステムも、まだ完璧なものではありません。全ての地震が、緊急地震速報通りの揺れになるわけではありませんが、発表されたときには、強い揺れが来る可能性が高いと意識して、揺れに備えた行動をとるようにしましょう。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年8月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。