日本の労働生産性の低さは「半沢直樹」にあり!

「日本の労働生産性が先進7カ国中最下位」という状態が20年以上も続いている。

労働生産性には「1人当たりGDP」と「時間当たりGDP」があり、いずれも最下位だ。

GDPは、国内で生み出される付加価値の合計だ。
例えば、100万円の材料を買ってきて、300万円の自動車を作れば、付加価値は200万円となる。
その作業を4人で行えば、1人当たりの労働生産性は50万円になる。

勤勉と言われる日本人の労働生産性が低いのはなぜか?
その答えは、流行(はやり)のテレビドラマ「半沢直樹」に見いだすことができる。

sumochannu/写真AC

「半沢直樹」シリーズは、銀行内での半沢直樹と彼と対立する悪役との戦いを軸に描いている。
悪役たちのモチベーションは出世であり、銀行の利益は完全に度外視だ。
度外視どころか、出世のためなら銀行が不利益を被ることも厭わないというスタンスだ。

このような銀行内での争いは何ら付加価値を生み出さない。
もし全員が一致団結して銀行の利益を上げれば、はるかに大きな付加価値を生み出しているだろう。

もちろんそうなると、ドラマにならないだろうが…。

多くの日本の企業では、多かれ少なかれ出世を巡る社内政治が横行している。
1日の大半を出世のための社内政治に明け暮れている人物も少なからずいる。

当然、そういう人たちは、ほとんど付加価値を生み出さない。
他国でも社内政治があるが、日本ではそれが顕著だ。

終身雇用制度の下で会社に就職すると、会社という「イエ」の一員になり「イエ」に対する忠誠心を求められる。
「イエ」の中で定年まで働くので、内部での出世競争が激しくなる。だから、「イエ」から追い出す出向・転籍が最大の懲罰になる。

余談ながら、「地方への出向」を悲惨なものと描くドラマがたくさんあるが、地方に対してとても失礼だと私は憤っている。地方でも、都会以上にしっかり仕事ができる優秀な人たちはたくさんいる。都会にいるより大きな付加価値を生み出している人材も、たくさんいる。

終身雇用が崩壊すれば、社内政治はなくなるだろうか?
残念ながら、そう簡単にはいかないと私は悲観している。「会社に残るため」「会社から出るにしても、できるだけ有利な地位に就くため」「転職に際して有利な地位に就くため」等々の熾烈な競争が行われ、今より陰湿な社内での政治闘争が繰り広げられる恐れがあるからだ。

1つの解決策は、出世競争の勝者が重要なポジションを得るという構造を、大胆に変えることだ。
従業員に関しては、「ジョブ型」の雇用形態を最大限活用するのだ。

例えば、管理職に適した人材は最初から「管理職」に就けてしまい、管理職というポストを出世競争のご褒美でなくしてしまう。管理職はともかくとして、取締役は、本来、出世競争の勝者がなるものではない。

会社法は、取締役は株主から委任を受けて経営に携わる「経営のプロ」であり、従業員とはまったく法的立場が異なる。
株主が納得して委任できる「経営のプロ」を社内外関係なく広く求め、適切な人材を選任するというのが、本来のあり方だ。

かつて、カルロスゴーンによって日産が蘇り、最近ではシャープが台湾資本によって再生されている。
何十年も社内にいると多くのしがらみができてしまい、社内の人間関係が経営判断を歪めてしまう恐れが高い。

しがらみのない外部人材の方が、客観的に正しい経営判断ができると私は考えている。


編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2020年8月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。