安倍晋三首相が辞任する意向を表明しました。約8年にわたる安定した政権が閉じることになります。
安倍首相は6度の国政選挙で大勝して国民の大いなる支持を受けました。しかしながら、安倍首相がマスメディアからポジティヴな評価を受けることは殆どなく、基本的には政治を私物化する独裁者であるかのように罵られました。
思えば、第二次安倍政権にはマスメディア主導の大きな試練が3回ありました。
安倍政権の最初の大きな試練は、不安定化する東アジアにおいて日本の安全保障を強化するための「特定秘密保護法」と「安保法制」の整備でした。法案には「治安維持法」「戦争法案」というレッテルが貼られ、「居酒屋で政治の話をすると逮捕される」「映画が作れなくなる」「いつでもどこでも戦争を始める」「徴兵制になって子どもが戦場に送られる」といった活動家・野党・マスメディアが主導したデマと陰謀論によって、安倍首相は徹底的に悪魔化され、最後にはヒトラーと同一視されました。街中では「アベ政治を許さない」「安倍は人間じゃない。たたき斬ってやる」といった活動家のアジテーションにより日本中でデモが発生し、政権支持率は急落しました。
しかしながら、法案が成立すると、居酒屋も映画も戦争も徴兵制もまったくのツリであったことが情報弱者にバレて次第に政権支持率は回復していきました。デマと陰謀論とは逆に、その後に成立した「テロ等準備罪」を加えた安全保障政策は、米国をはじめとする自由と民主主義陣営と日本の結束力を高め、日本の安全保障環境は格段に強化されました。なお、野党・マスメディア・活動家から独裁政権と呼ばれる安倍政権は、むしろ権力の行使に慎重で他者の意見を聴く民主的な政権であり、いわゆる「強行採決」のペースも民主党政権の半分程度に過ぎません。
安倍政権の第二の大きな試練は「モリカケ」「桜を見る会」の疑惑でした。安倍政権打倒を目指す野党とマスメディアは、これらの疑惑に対して、安倍首相の身辺を徹底的に調査しましたが、全く証拠は出ず、苦し紛れに悪魔の証明を強要した上で「疑惑はさらに深まった」とヒステリックに叫ぶに至りました。この騒ぎに刺激された情報弱者の離反によって安倍政権の支持率は急落し、遂にはマスメディア主導の「小池劇場」旋風の中、自民党は東京都議選で壊滅的な敗北を喫しました。しかしながら、その後の国会証人喚問で疑惑の証拠が出ることなく「希望の党」騒動で「小池劇場」が終焉すると、政権支持率は再び回復しました。
安倍政権の第三の大きな試練は今回の「コロナ騒動」です。ワイドショーによって「後手後手」とレッテルを貼られた安倍首相は「アベノマスク」「Go To キャンペーン」「うちで踊ろう動画」を徹底的に非難され無能の烙印を押されました。自称リベラルを標榜する野党・マスメディアは、リベラルとは対極にある専制的な「非常事態宣言」を発令するよう安倍首相に迫りました。
安倍首相は、国民のバイタルである経済をボロボロにすると同時に国民の私権制限につながりかねない非常事態宣言の発令について極めて抑制的でしたが、ワイドショーによってゼロリスク脳に洗脳されて集団ヒステリーを起こした情報弱者の叫びには逆らえず、非常事態宣言を発令するに至りました。政権支持率が大きく低下した安倍政権ですが、実際に安倍政権が構成した日本チームは見事にコロナの感染を遅らせ、死亡率は先進主要国のなかで最低を示しています。
また「アベノマスク」の配布は市中にマスクを流通させて価格を低下する効果があったという指摘があります。観光業界支援の「Go To キャンペーン」は8月20日までに420万人が利用し、懸念された感染者の利用はたったの1件でした。優雅な貴族と揶揄された「うちで踊ろう動画」は147日間連続勤務の安倍首相が国民啓発活動の一環として寸暇を惜しんで撮影したものでした。
このように、約8年間にわたる安倍政権は、国民の意思など関係なしに政権打倒を目的化したマスメディアから常に悪意ある攻撃を受け続けました。しかしながら、マスメディアは結局最後まで安倍政権を倒すことができませんでした。もっぱら安倍首相の辞任会見は、負け犬となったマスメディアの哀れな恨み節会見の様相を呈していました。
極めて残念なことに、安倍政権は「憲法改正」「北朝鮮拉致問題解決」「北方領土返還」を実現することはできませんでした。しかしながら、先進国をリードした「首脳外交」、世界各国との平和外交を広げた「地球儀を俯瞰する外交」、丸腰だった日本を防護した「安全保障政策」、日本主導の「TPP」など、世界の平和と繁栄のフレームワークを創造する多くの功績を残しました。
そんな中で私が最も大きな功績であると考えるのが、「日本の自殺者の抑制」です。非常に重い内容ではありますが、自殺は社会の究極の苦悩が発現したものです。
自殺者は「失業率」と高い相関関係を持ちます。過去のデータを見ると、小泉政権と民主党政権の時代に失業率が高く、自殺者も高い数値を示しています。小泉政権や民主党政権のような効率至上主義の小さな政府の政策は、経済効率に基づいて事業を仕分けるものであり、失業者の発生を許容するものです。この二つの政権時に自殺者数がもっとも多かったことは、理に適っています。
一方、安倍政権は雇用機会を増やして職に就いていない国民に雇用を与えました。事実、安倍政権は日本の失業率を1980年代のレベルまで奇跡的に低下させ、民主党政権時代に約3万人/年いた自殺者を、2019年までに約2万人/年まで低下させました。この差である約1万人という数字は、年間交通事故死亡者数の約3倍の値です。安倍政権は、すでに数万人の日本国民の命を救っているのです。特に、経済・生活要因の自殺者数は約3400人/年となり、民主党政権時代と比べて半減しました。これは、多くの人が、職に就くことで、人間の幸福度に大きな影響を与えるとされる「小さな幸せ」を実感できたことによるものと考えます。野党は、安倍政権を「金持ち優遇の独裁政権」と罵りましたが、実際には安倍政権こそ、自ら命を絶つ究極の弱者に寄り添った「真のリベラル政権」であると考えます。
安倍政権は、現在のコロナ対策においても「雇用を守る政策」を次々に打ち出しています。安倍首相は自身の体に鞭打ちながら、今回も弱者に寄り添っているのです。安倍政権が国民から支持されて史上最長となった最大の理由は、私たち庶民に対して「働いて生きる」という人間にとって最もシンプルかつ重要な「小さな幸せ」を創ったことにあると私は思っています。
安倍総理、本当にご苦労様でした!