内閣総理大臣を7年8ヶ月務めるというのは大変なことだったと思います。
野党の多弱化や医薬の発展はあったものの、持病を抱えながらもそれを可能にしたのは2つの原動力があったからではないでしょうか。
一つは「再チャレンジ精神」。1回目の悔しさをバネにして、学んだ事を徹底的に政権維持に活かされた。失敗は人にとって最大の武器になり得ることを国のトップとして体現してくれました。
そしてもう一つは「理念」。
多くの政治家が明確な目的や目標を持たずに活動を続ける中で、その賛否・是非は別にしても、安倍総理の憲法や外交・安全保障に対する思いは堅固なものでした。それが育った環境から醸し出されたものであるが故に、理屈ではない強さを感じさせました。
経済面では金融緩和、法人税、規制改革等、私が出馬の際に訴えてきた政策と同じ方向性のものが多く、心強く思うことが多々ありました。但し、壁の厚さからかドリルが途中で止まってしまうケースもあり、次の総理はコロナ対策と経済の回復が最大のミッションであるものの、それとセットとも言える改革を継承し、更に突破力を発揮できる方に担って頂きたいと思います。
政権の大きな山場は(個人的な思い出でもありますが)やはり安保法制でしょう。国論を二分する中で様々な情報と思いが入り乱れ、接点を見出すのが非常に困難な状況でした。その帰着点は歴史的評価として後世の国民にどう判断されるかですが、あの時は安倍総理の並々ならぬ思いをヒリヒリするほど感じたものです。
そういう意味でも、憲法改正まで至らなかった事が最大の心残りであることは間違い無いでしょう。それが今後十数年の間に実限されなければ、虎視眈眈と3度目の登板を狙うことさえあるのではないかと私は感じています。
理屈抜きで「理念」というものは生涯続くものですから。
とはいえ、誰にとっても体が資本ですから、今はご自愛頂き、治療に専念してほしい思います。
大変お疲れ様でした。
編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、元参議院議員の松田公太氏のオフィシャルブログ 2020年8月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。