ユーミンへ暴言「本業=イキリ芸人、副業=学者」白井聡という男

高山 貴男

そこにシビれる!あこがれるゥ!

反安倍で知られる京都精華大学・専任講師の白井聡氏が、朝日新聞社の「論座」電子版に安倍政権を総括する記事を発表した。タイトルは「安倍政権の7年余りとは、日本史上の汚点」であると実に激しい。

首相官邸YouTube

どんなものかと記事を読んでみるとわずか2秒で

この長期政権が執り行なってきた経済政策・社会政策・外交政策等についての総括的分析は、それぞれの専門家にひとまず譲りたい。

という文にぶつかる。大抵の人間はこの後、真面目に読まなくなるだろう。読むのを断念する者もいるに違いない。

しかし、一方「さすが革命能力なき革命家」とか「わかりやす過ぎる保身!さすが白井聡!そこにシビれる!あこがれるゥ!」という者もいるはずだ。そしてこの記事にはこんな記述もある。

数知れない隣人たちが安倍政権を支持しているという事実、私からすれば、単に政治的に支持できないのではなく、己の知性と倫理の基準からして絶対に許容できないものを多くの隣人が支持しているという事実は、低温火傷のようにジリジリと高まる不快感を与え続けた。

「白井さんの片思いだったのでは?」とか「安倍政権支持は絶交のサインですよ」なんて言うのは野暮である。白井氏の文章を読んでそんな感想を抱くのは時間の浪費であり、実にもったいない話である。

学者は本業ではない?

白井聡氏(京都精華大HPより)

まさに個性抜群な白井氏だが最近、歌手の松任谷由実氏がラジオ番組で安倍首相の辞任会見を見て切なくなったと発言したことに対して自身のFacebookで「醜態をさらすより、早く死んだほうがいいと思いますよ。」と書き込み批判され謝罪した。

松任谷由実さんに「早く死んだほうがいい」 政治学者・白井聡氏、物議の発言削除し「つい乱暴なことを口走ってしまいました」(Jcastニュース)

「いい歳をした大人がなぜこんな暴言を、しかも学者先生が…」と思う方が圧倒的だろう。

しかし、ここでは角度を変えてみてみよう。確かに白井氏は「学者」だが、それは副業に過ぎず、彼の本業は「芸人」であり大言壮語の滑稽さ、ハッタリの愚かさ、虚勢の痛々しさを表現する、端的に言えば「粋がる」を「芸」とする者である、と。

「しかるべき場所(牢獄)へと送り込まなければならない」とか「早く死んだほうがいい」といった発言も「粋がる」の「芸」である。

あくまで「芸」なので誰も牢獄に入らないし誰も死なない。とはいえ松任谷由実氏の例は観客(民間人)に芸具を投げつけたようなものなので白井氏も謝罪せざるを得なかったというところか。彼の芸を成立させる相方は舞台上(公的な立場)にいる政治家である。

政治家なら基本的に反撃してこないから叩くこともでき、存分に「粋がる」を「芸」ができる。

本業:イキリ芸人 副業:学者

Amith/flickr

白井聡とは「『粋がる』を芸とする者」であり、我々に非日常を提供し楽しませてくれる。我々は彼に感謝すべきだが、やはり松任谷由実氏への暴言はいただけない。

芸人が観客(民間人)を攻撃するなどもってのほかであり、しかも「SNS上での誹謗中傷」が社会問題になっているこのご時世にである。

これでは「『粋がる』を芸とする者」ではなく、単なる「イキリ芸人」である。

残念ながら本稿執筆時点では「白井聡とは何者か?」と問われた場合「本業:イキリ芸人 副業:学者」と回答せざるを得ない。

だから白井氏は猛省し「イキリ芸人」を脱し、かつてのように誰も傷つかない誰も恐怖しない誰も怯えない何も壊れない何も動揺しない何も変わらない長文を書き上げ皆を楽しませてほしい。