堀潤さん&きたむらけんじさんの「フクメン」に出演 大学生をどう支援するか

堀潤さん&きたむらけんじさんの「フクメン」に出演。9月3日(木)22時より。内容は新型コロナウイルスショックと大学生活。大学生の悩みの生声をもとに考える。大学教員という当事者視点で、いま起こっていることと、その処方箋を模索する。

新聞各紙は特集記事、社説などにおいて大学において通常どおりの講義が行われておらず、大学生が不安を抱えて生活していることを問題提起している。この1ヶ月の間、各紙が社説で問題提起した。

コロナと大学 対面授業の実施へ知恵を絞れ : 社説 : 読売新聞オンライン

社説:コロナ下の大学 学生の意欲そがぬように – 毎日新聞

【主張】コロナと大学 「学費返せ」の不満解消を – 産経ニュース

コロナと大学 学生の声に耳を傾けて:東京新聞 TOKYO Web

大学生やその保護者の気持ちをうまく代弁したものといえるだろう。真摯に受け止めなくてはならない。ただ、大学に関する取材が十分でない点や、言いっぱなしになっているものも散見された。「大学だけが再開しないのはおかしい」という意見には向き合わなくてはならないし、各紙の社説が指摘しているように、知恵を絞らなくてはならない。

もっとも、「大学だけが再開しない」というものの、「大学だけの(ならではの)」事情があることもおさえておきたい。教室の広さと収容人数と受講者数、大学生や教職員の行動範囲などだ。学部・学科も増え、さらには通常の講義以外の活動も増え、普段から教室の割り振りは困難になっていた。三密を避ける教室割に現在も知恵をしぼっている。一部は学内でオンライン講義を受けるというスタイルになり、その場所の確保も必要だ。

これらの社説はちょうど大学の夏休み期間に書かれたものであり。秋に向けての問題提起ということだろう。では、秋以降の姿も取材をして頂いて、取り上げてほしい。

最新情報:新型コロナウイルスの感染拡大に係る対応について(まとめ・9/1更新) | 千葉商科大学

勤務先の大学でも対面の講義が秋から一部再開される。全面再開ではないが。学生には対面の講義を再開する科目においてもオンライン受講することを認める。申請者を募ったが、具体的な数は書かないが、私の予想以上の割合だった。

立命館大生の1割が退学検討?調査した大学新聞は数字のひとり歩きを懸念 | ハフポスト

先日、「立命館大学の学生の1割が退学を検討」という調査結果が各紙にのり話題となった。その調査を行った当事者を取材したこのハフポストの記事が秀逸だった。学生はデータの独り歩きを懸念していた。そして、記事にあるとおり、すべての学生が対面講義の復活を望んでいるわけでもないことにも注目したい(だからオンラインにしろと言っているわけではない)。

若者は重篤化しない、無症状の人が多いとはいえ、高齢者と同居している人もおり。また、基礎疾患があり、感染を恐れ、一切外出しない学生もいる。いざ感染すると彼ら彼女たちは一定の期間、アルバイトもできなくなる。経済的にますます息詰まる可能性がある。

さて、どうするか。詳しくは番組で話すが、個人的には「様々な立場の学生の意見を尊重しつつ、できることを最大限やる」ということにつきると考えている。実際、その取り組みは各大学でも行われているし、メディアはその動きも伝えてほしい。

また、学生がコロナ感染した際に傷つかない対応も必要だ。ここに書いたことも、番組でふれることもあくまで個人的意見だが。私は大学はよっぽどの過失がない限り、コロナ感染者が出たときに「謝罪」してはいけないと考えている。あくまで淡々と事実を報告するべきだ。対策を十分にしても感染することがある。対面講義が復活した以降は学生同士の間でコロナいじめなどが起こらないようにも気をつけたい。

起こっている問題については、新型コロナウイルスに明らかに起因するもの、それによりますます深刻になったもの、もともと起こっていた問題などにうまく切り分けたい。さらには、オンライン講義も単に資料を掲示しただけの雑な講義が存在するなどの問題点が指摘されている一方で、これだからこそできること、さらには、今後、今までになかった学びが実現することなどにも注目したい。

なれないオンライン講義で学生にも申し訳なかったが、とはいえ、あくまで私の目の前での出来事ではあるが、学生がよく勉強するようになったと感じている。また、オンラインであるがゆえに、オフィスアワーのハシゴをする学生も現れ、むしろ教員との関係が近くなったという声もあった。自分の時間が増え、読書する機会も増したという声も。秋以降はリアルとオンラインを組み合わせたハイブリッド型が増える。この混乱にも立ち向かわなくてはならない。でも、新しい何かが生まれる予感もしている。

なんとしてでも、学生生活を守る。ただ、その考え方ややり方も多様であることを認識したい。

このあたりの話を番組では話す予定だ。ぜひ、ご覧頂きたい。滞在先の石川県より。


編集部より:この記事は千葉商科大学准教授、常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2020年9月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。