合流新党の代表選挙が今週月曜日の7日に告示され、立憲民主党の枝野幸男氏と国民民主党の泉健太氏が立候補しました。と私が言っても、「なんですか?」という人も多いと思います。
なぜならば、今週告示された自民党の総裁選挙に比べれば、この代表選挙があまり知られていません。というのも、自民党の場合は総理大臣が辞任して与党のトップを決めるということは、次に選ばれた人が総理大臣になるからです。一方、今の野党が総理になることは100%ありませんし、新党と言われてもよくわからないということです。今回の合流新党が一体何かというと、立憲民主党と国民民主党が合流して新しい党を作るから新党となります。
元々は前回の2017年9月に行われた総選挙の際に、小池百合子東京都知事が希望の党を旗揚げするまでは同じく民主党だった人たちです。正確には希望の党に合流するときには民進党になっていたんですけども、もうゴチャゴチャしてしまうので今日は民主党と言います。
総選挙の際に希望の党と立憲民主党にわかれました。その後、選挙後に希望の党のメンバーは、今の国民民主党になりました。その国民民主党と立憲民主党がまた一緒になって党をつくるということなので、元のさやに戻るということですね。その意味ではまっさらな新党ができるということではなく、元サヤ新党です。代表選では党代表と一緒に党名を選ぶことになっていて、枝野氏が勝った場合は立憲民主党、泉氏が勝てばずばり民主党にすると言っています。菅直人、野田義彦両元総理をはじめ、岡田元副総理や小沢一郎氏など元民主党の幹部だった方が続々と集まるわけですけれども、綺麗に全員集合というわけではありません。というのも、国民民主党の玉木雄一郎代表や前原誠司氏、古川元久氏ら幹部は今回の合流新党には行かないということです。ここがまさにポイントです。
なぜ民主党は分裂したのか、そしてなぜ完全に元に戻れないのか、この理由については実は全く同じです。さっきも言ったように3年前の総選挙直前に民主党は分裂をしたわけですね。きっかけは希望の党、当時の民進党が全面合流をすると言いましたが、小池百合子都知事は、名ゼリフとなった「排除します」と言いましたよね。一帯何を排除すると言ったのかというと、根幹政策の違う人たちを排除するということでした。その根幹制作は何かというと、憲法改正と安全保障、原発などです。
この根幹政策でわかれていたのが民主党です。例えば、憲法改正をしようという人と憲法は絶対に変えないという人たち、原発をゼロにするという人と原発を使っていくという人とが同居していたわけです。たしかに諸々の政策というのは日々変わっていくものです。例えばGoToトラベルキャンペーンをやると決めても、今やるのかそれともコロナが収束した後にやるのかということについては、政策議論として違いがあってもいいわけです。しかし、根幹に関わる政策は違います。これは価値観そのものが違うから、同じ政党とは言えないわけです。そうしたバラバラだった民主党が平成21年から政権を担当して失敗した、その根幹ですね。その人たちがまた同じ政党をつくるということになった時に「行かない」と言っている玉木氏らは、要はその根幹政策が違うというところにこだわっているからです。
私、実は先週たまたま玉木雄一郎代表と同じ場所に居合わせたので話をしました。その時私は「今回、合流しないことを立派な決断だ」と言いました。そして「維新の会と組んだらどうか」と続けました。憲法議論を自民党にどんどん促して、なんだったか閣外協力してもていいんじゃないかと伝えました。その方がよっぽど建設的に日本のためになると思いますし、ある意味では歴史的な仕事になる、対案を出して現実的な議論で物事を前に進めることこそが大事だと思うんですね。
党内はバラバラだけれども、党外に向けては自民党批判で一致しているという野党に国民は期待していないと思いますよ。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年9月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。