早期解散は間違いない、99.9999999999999%

中田 宏

先日、自民党の総裁選挙が行われて菅義偉元官房長官が新総裁に選ばれました。そして、昨日は自民党の役員人事について、二階俊博幹事長をはじめとした党三役などの主要人事が発表されました。

幹事長     二階 俊博
幹事長代行   野田 聖子
総務会長    佐藤 勉
政調会長    下村 博文
国会対策委員長 森山 裕
選挙対策委員長 山口 泰明
組織運動本部長 小野寺 五典

8月28日に安倍総理が辞任表明してから昨日までは、完全に安倍総理のシナリオ通りになったと思います。シナリオ通りというのは、もちろん菅さんに収斂(しゅうれん)していって、後継総理するということがまずあります。しかしそれだけではなく、自民党内の大多数が菅支持で固まっていくというプロセスを、極めて自然に見せるということができたわけです。派閥に対する批判はあっても、安倍総理は腹を探られることがほぼなく、出来レースと言われるようなこともありませんでした。これらはすべて完全にシナリオ通りですね。ここまでは完璧と言えると思いますけれども、あとは安倍総理が新菅政権の後継人となって外交をはじめとして、表で裏で影響力を発揮するということになれば、完璧中の完璧なシナリオ通りになります。

さて、私がそれを予言したというか言い当てたというか、デイリースポーツのインタビューに答えていたので、またまた昨日のデイリースポーツに私のインタビューが出ています。

私は秋の解散総選挙が確実だと思います。総裁選出後の記者会見で菅さんは「コロナ問題が下火になってきたということでなければ、なかなか難しいのではないか。コロナ収束と、経済を立て直すことが大事だ。全体を見ながら判断する」と答えていました。これは当然のことを言っている話ですがまたまだ総理大臣になったわけではありません。総理大臣になったら、なおさら本当のことが言えなくなりますけれども、永田町の常識・格言として「解散については嘘をついて良い」という言葉があります。ただでさえ衆議院議員の任期満了まであと1年ですので、どこかで解散総選挙を断行するしかないわけです。そのときに一番重要なのは何か。菅新政権からすれば当然ですけれども、勝てるタイミングであるかどうかです。そのタイミングはこの数ヶ月ということなんです。その後は支持率が下がるとか失政が繰り返されるとかそんなことを言っているのではなく、その先は誰にもわからないわけです。

そこで永田町のもう一つの永田町の常識・格言「政治の世界『一寸先は闇』である」です。

一つの教訓があります。平成20年に誕生した麻生太郎政権です。麻生政権の前、福田康夫総理が辞意表明をして今回と同じような形になりました。すなわち両院議員総会で麻生さんが選ばれて新総理になったんですね。さらにもう一つ同じことがあります。それは経済危機です。当時はリーマンショック、今は新型コロナです。当時の麻生総理は、経済が沈んでいる今よりも経済対策を打って経済を浮揚させてから解散と考えたんです。ところが、経済は持ち直さず、やがて様々な政策にケチがつき、支持率も下がって追い込まれていきました。そして翌平成21年の解散総選挙で自民党は惨敗し、民主党政権になりました。当時、菅さんは早期解散に反対でした。

その麻生副総理は、13日に「1年以内に衆議院の選挙が確実に行われる。下手したらすぐかもしれない。国民の審判を問われていない内閣とか色々叩かれるのは目に見えている。“だったら”という感じはしないでもない」と発言し、さらに昨日も「私が考えることではないが、早期解散は考えるべきだ」と発言しています。菅新総裁は今、解散に前向きなことは一切言えるはずはありません。しかし、麻生さんが国民に向けて、党内に向けて解散があるといっているわけです。あの時、反対した菅さんに、「菅ちゃん、あのときのことは気にすんなよ。俺の轍を踏むなよ」というメッセージでもあります。

先ほども言ったように、一寸先は闇ですから「100%」と言ってはいけないんですけれども、今の時点で早期解散は間違いないと思います。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年9月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。