河野太郎大臣が就任会見で早速ぶち上げました。
深夜に行われる新閣僚の就任会見について、前例主義、既得権、権威主義の最たるものだと思うのでやめたらいいと。
河野大臣“慣例”に「やめたらいい」と苦言(日テレNEWS24)
確かに、大臣の就任会見は深夜までやることが多く、大臣自身も大変ですが、多くの公務員がその対応に追われますし、正直メディアの方々も深夜まで取材した後で原稿を作ります。
昔から続く慣例でしょうが、確かに全くナンセンスでしょう。
民間企業は、こうした一つひとつ改善を進めていますが、霞が関は社長が組織経営のことをあまり気にしないので、なかなか変わっていきません。
今は、各大臣の会見の動画はネットにupされるので、好きな時に好きな大臣の会見を見ることができるので、官邸から各省に大臣が戻って同時に会見をしても全く問題ありません。
もう一つの興味深い取組は「縦割り110番」です。
17日の午後、即座に縦割り110番をご本人のサイトに立ち上げて、無駄な規制、仕事を妨げている規制、役所の縦割りで困っていること等々、規制に関する情報を求めました。面白いのは、「霞が関の住民からのインプットも歓迎します。」と書いてあることです。
このツイートは、3.1万リツイート、9.3万の「いいね」がついています。
そして、早くも3000通以上のメールが届いたので、意見を整理するため新規の受付を一時停止しました。
「縦割り110番」にメール3000通 河野氏、反響大きく受け付け一時停止(毎日新聞)
おそらく、この取組は内閣府の組織的なものに引き継がれていくのではないかと予想しています。
たくさんの意見が寄せられますし、どのように抽出して、改革に活かしていくかという仕事は非常に力と知恵が必要ですが、このような政策プロセスのオープン化は間違いなくこれからのトレンドになると思います。
今後の動きが気になります。
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最後に、僕が最も気になったのは、霞が関のホワイト化です。
河野大臣の会見で、担当の国家公務員制度の課題について
これだけ霞が関を志望してくれる人が減り、せっかく省庁で勤務を始めた若い人がかなり早い段階で辞めたいという状況になっているというのは霞が関極めて危機的な状況になると言わざるを得ない。
と述べ、霞が関のブラックな状況をなんとかホワイト化することを優先順位高くやっていかなければならないと話しました。
霞ヶ関を「ホワイト化する」若手官僚の士気向上に注力 河野行革担当相(the Page)
僕が驚いたのは、河野大臣の霞が関の若手に関する発言です。
本当に若手の生の声を聴いて理解されているのだなと感じます。
おそらく、多くの幹部官僚よりも、河野大臣の方が若手の状況を理解していて強い危機感を持っているのではないかと思います。
大臣が就任会見で話すことというのは、新大臣が最も重視している内容なので、本気で取り組みたいと思っていることは間違いありません。
行政改革は、国民のためになる政策をと届かせることができる霞が関を作っていくことです。
単に公務員を減らして行政が機能しなくなっては元も子もありません。
霞が関が疲弊しているから公務員を増やすべきという考えもありますが、山積している国民生活や政策立案と関係ない無駄な作業の徹底的な排除や、人員の偏りの是正などをせずに公務員を増やしても全く意味がありません。
ざるで水をすくうようなものですし、税金の無駄遣いです。
無駄な作業を排して、空いた時間で官僚たちが民間企業や現場を見たり、勉強したり、生活者の声を聴いたり、そういう時間を作り、自信を持って政策を提案できる状況を作っていただきたいと思います。
それによって、官僚の生活をよくするというよりも(もちろん健康や家庭を壊す働き方は論外)、真に国民のためによい政策を届けられる霞が関を作っていただければと思います。
自分たちのやっている仕事が国民のためになっている実感があれば、官僚たちもやりがいを持って前向きに働けます。
改革を進める時には、それがよいことであっても、必ず変えたくない人も出てきます。
それを乗り越えられるかどうかは、改革を進めることが支持率向上に結びつくかにかかっています。
発信力の非常に高い河野大臣なので、こうした旧態依然とした前例を徹底的に変えることに、世論の支持を集めて強く大きく変えていけるのではないかと期待しています。
河野大臣は、公務員制度担当なので、河野大臣が菅総理の方針も受けて動けば、どの省庁の幹部も必ず従います。
引き続き、この動きをウォッチしていきたいと思います。
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編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2020年9月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。